2013年5月22日水曜日

「中韓4種」が起源? 拡大する“新顔”鳥インフル 大流行、季節化に警戒

  インフルは人類の長い歴史の中でいつもあるものですが、過去と違い、交通手段の発達により、ウイルスが広がる範囲と速度は格段に広く・早くなってきたことです。それで、「中韓4種」のような「合成型」もより生まれやすくなります。 素人的な考えですが、おそらく抗生物質のような薬の乱用により、いわゆる毒性の強いものもどんどん生まれていくでしょう。
 道路作りにおいていくら本数を増やしても車の増加に追い付かないのと同じで、医学はいくら進化しても、新しい病気の発生には追い付かない可能性はあります。いたちごっこもいいところでしょう。

 中国や台湾で3月以降、鳥インフルエンザに感染する人が急増している。野鳥などのウイルスが変異して生まれた新顔のH7N9型だ。世界的大流行(パンデミック)が懸念される一方で、専門家は冬場の季節性インフルエンザ対策の重要性を指摘している。(伊藤壽一郎)

 人間や鳥類、ブタなどさまざまな生物にみられるインフルエンザ。いずれも同じウイルスが引き起こす感染症で、鳥類がかかると鳥インフルエンザの病名で呼ばれる。人間では毎冬流行する季節性インフルエンザと、数十年に1度の頻度で爆発的に発生するパンデミックインフルエンザが知られている。

 インフルエンザウイルスは多くのタイプがあり、それぞれ病原性や感染する生物などの性質が異なる。ウイルスは生物の体内で出合って遺伝子を部分的に交換して変異を繰り返し、宿主が免疫を持たない新タイプができると流行を引き起こす。

 中国で広がるH7N9型ウイルスも、このようにして生まれた。国立感染症研究所の長谷川秀樹感染病理学部長は「中国浙江省のアヒル、同河北省と上海市の鶏、韓国の野鳥に由来する少なくとも4種類のウイルスが起源となったようだ」と話す。

 ■人同士感染しにくい

 インフルエンザウイルスは直径約100ナノメートル(ナノは10億分の1)。表面には、宿主の細胞へ入り込むためのヘマグルチニン(HA)と、細胞から飛び出して感染を広げるためのノイラミニダーゼ(NA)という2種類のタンパク質があり、それらの合成に関わるものなど計8個の遺伝子を持っている。

 HAを合成する遺伝子は16種類、NAは9種類あるため、ウイルス型は両者の組み合わせで計144種類に分類される。H7N9型はHAが7型、NAが9型という意味だ。

 長谷川部長によると、同じ型でも構造が部分的に異なり、病原性や感染する宿主が変化することがあるという。実際、H7N9型はこれまでにもあったが、過去100年間で人間に感染した例はなかった。

 感染研は4月、感染した鶏から抽出したH7N9型ウイルスを中国政府から譲り受けて分析した。その結果、鶏に対する病原性は低かったが、人間に対しては感染しやすい性質が高まっていた上、感染するとウイルスが肺で増殖して重症肺炎を起こす可能性があることが判明した。

 ただ、長谷川部長は「人が主に感染するのは、のどなどの上気道ではなく肺なので、くしゃみの飛沫で容易に人同士で広がることはないだろう」とみている。

 ■高病原性への懸念

 新たなインフルエンザウイルスが登場すると、人間はまだ免疫がないため、パンデミックが起きやすい。過去の例は世界で2千万~5千万人、日本で約39万人が死亡した1918年のスペイン風邪や57年のアジア風邪、68年の香港風邪、2009年の新型インフルエンザなどがある。

 今回のH7N9型は大流行するのか。北海道大の喜田宏特任教授(ウイルス学)は「H7型は人に感染しやすく、人類はH7N9型への免疫がない。パンデミックの可能性は否定できない」とみる。

 だが、新タイプのウイルスは当初、病原性が低いのが通例だ。喜田氏は「現段階では人に対する病原性は高くないため、慌てることはない。今後警戒すべきは、人への感染を繰り返すうちに人同士で感染する力を獲得し、高病原性の季節性インフルエンザに変わることだ」と指摘する。

 H7N9型はタミフル、リレンザ、ペラミビルなど既存の治療薬が有効で、これらを冷静に準備して即応態勢を作ることが大事という。一方、季節性インフルエンザの現行ワクチンは、重症化は防げるが十分な予防効果がない可能性が高いため、喜田氏は「改良を急ぐべきだ」と話している。

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