2013年12月19日木曜日

4Kテレビ、ホントのところ

本当な答えはどうして言えないでしょうか。
端的に言うと、新しいものを作らないと会社が潰れるからです。
必要かどうかは、馬鹿な質問で、ごく一部の人ためであっても、必要です。
質問はむしろ、人間はどこまで贅沢さを求めたいか、何処まで怠け者になりたいか、何処まで怠け者に馬鹿になりたいかです。
今はいずれの方面においても、「順調」に進んできています。
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 先日、「来年のトレンドを追う」というビジネス媒体の記者から取材で、"4Kテレビ"をテーマにした今後の動向についてインタビューを受ける機会があった。筆者は取材記事を書く記者でもあるため、どうしてもこうしたテーマに対して自分なりのストーリーを考えてしまうクセがあるが、相手の記者はまた別の意図で同じテーマについて考えているもので、その間にはたびたび食い違いが生じる。【拡大画像や他の画像】 幸い、出自が近い(以前はPC媒体にいらっしゃったそうだ)ためか、うまく共通認識を得ることができたが、取材相手のマインドセットに合わせ、伝えたい意図の本質部分を理解してもらうのはなかなか難しい。自分の文章でさえ難しいのだから、インタビュアーを通して伝えるのは、なおさらにハードルが高い。 インタビューをする側の立場の時にも、こうした受ける側の苦労を考えねば……と思った次第だが、"4K"について「なるほど、そう見えている面もあるのか」と新たな気付きもあった。●"4K"に対する多様なイメージと混乱 デジタルハイビジョン放送が普及する中、SDとHD(あるいはハイビジョン)というキーワードが一般的になった。SDとはStandard Definitionで標準解像度。HDはHigh Definitionで高解像度。それに対して"4K"という言葉は、あまりに違和感が大きい。 エレクトロニクス業界の中では、とくに海外勢を中心に「UHD」(Ultra High Definition:超高解像度)という言葉が使われる場合もあるのだが、日本でも海外でもほとんど普及していない。では、なぜ"4K"なのか。 実は4Kとは本来、DCI(Digital Cinema Initiative)という映画のデジタル化に関する業界団体が決めた標準仕様の一部だ。テレビでいうところの4Kでは、フルHDの4倍の画素(3840×2160ピクセル)になっているが、DCIの4K(正式には4K2K)は横方向の解像度が4096ピクセル。16:9ではなく17:9のアスペクト比になっている。 もっとも、今ではフルHDの4倍(QFHD)も4Kと呼ぶのが一般的になっており、解像度だけを示すのであれば、対して画素数が違わないこともあって「おおよそ4000×2000ピクセルぐらいの解像度」という意味で4Kといっても構わない、というのが業界内の空気感だろう。もちろん、プロ用途だけにほかのさまざまな仕様(色再現域や色深度、カラーフォーマットなど)も異なっているが、すでに4Kという言葉は技術仕様を乗り越えたところにある。 さて、話を"4Kテレビ"に戻そう。 4Kテレビについて尋ねられるとき、必ず聞かれるのが「本当に必要なのでしょうか?」という質問だ。しかし、必要か必要でないかという視点は、実のところあまり適切ではないと思う。なぜなら、4Kどころか、フルHDでさえ、"実用品としてのテレビ"には必要がないからだ。 にもかかわらず、37インチ以上のほとんどのテレビがフルHD化しているのは、必要だからではなく、高精細な映像によって、より高い品位の体験を、放送やBlu-ray Discによって得たいからに他ならない。同じことは4Kでも同じなのだ。確かに現時点において4Kテレビは高価な買い物であり、本当にそれが"現時点で"買うべき代物なのか?という議論はあるだろう。 しかし、「4Kテレビは必要なのか?」と問われれば必要ではない。高品位な映像で、より高い体験を得られるかどうかが重要なのだ。では、そうした視点で現在の、そして近未来の4Kテレビを考えるとき、そこにどんな価値があるのだろうか。●プレミアム映像を楽しむなら現時点でも有益 筆者が、引っ越しなどで新しいテレビを買うという友人に4Kテレビ購入の相談されると、次のような質問を返すようにしている。「Blu-ray DiscやBS有料放送など、プレミアムコンテンツを少しでも高画質に届けようとしているメディアを観る機会や、それに対する価値観は?」 前述したように映像制作の面で4Kの導入が先行しているのは映画である。過去数十年の映像トレンドを振り返ってみると、映画という大きな予算をかけ、有料で観てもらわねばならないコンテンツを起点に、新たな映像技術のトレンドが発生している。 例えばサラウンド技術がそうだし、3D映像技術もテレビのためではなく、劇場向けコンテンツの3D化が進む中で、それを家庭でも楽しめるようにという趣旨で開発が進んだものだ。テレビ放送に新たな規格を加え、それが世界中に拡がっていく速度は遅い。ハイビジョンなど、アナログ時代も含めると最初の技術展示から30年以上を経てやっと普及したぐらいだ。 4Kに関しても、大判フィルムを用いた名作映画のレストアと4Kマスタリング、あるいは直近の映画における4Kデジタルシネマカメラを用いた撮影で、映画をはじめとするプレミアムコンテンツの画質がグッと上がってきていることが背景としてある。 現時点で4K放送はもちろん、4KのBlu-ray Discさえ存在していないが、従来の2Kマスタリングでは、撮影時やデジタル化の時点でそぎ落とされていた情報がマスターに存在するため、同じフルHDのBlu-ray Discでも従来より多くの映像情報が詰め込めるようになってきている。 一部、YouTubeなどで4Kのネット動画を楽しめるようになっているが、それらと比べても昨今の高画質BDは、とりわけ良い画質を獲得している。これは難しくいうと、デジタルフィルターの特性と組み合わせの違いによるもの。このあたりを、なんとなシンプルに高画質を愉しんでもらおうというのが、ソニーの「Mastered in 4K」である。 この取り組みは結果を見る限りはうまく行っており、BDというフルHDしか供給できないメディアを通じて、4Kの良さを感じることができるはずだ。「プレミアム映像を楽しむ手段としての4Kは有効だ」と強調しておきたい。 しかし、一般的なテレビ放送に対する4K化の効果は? となれば、状況は違ってくる。4K放送が存在せず、フルHD用カメラでコンテンツが作られている現在、それなりに精細"感"の演出はできるものの、そこに大きな価値があるかといえば疑問符が付くだろう。 その人が、どのようなコンテンツを楽しむか。これよって、4Kの価値は大きく異なるのだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131218-00000092-zdn_lp-prod

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