2013年11月16日土曜日

激戦区参入 シンプルデザイン高級コンパクト「FUJIFILM XQ1」を検証する

当たり前だが、それぞれのモデルに一長一短があります。
どれにするかは、なにを一番求めているかによりますかをはっきりさせてからです。
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久しぶりにコンパクトデジカメを見て「あ、このデザインはいい」と思ったのが、富士フイルムの「FUJIFILM XQ1」(以下 XQ1)。薄いアルミならではの軽い質感とシンプルで滑らかな形状が気に入った。アルミっぽい感触、肌触り、そして軽快感がいい。特にシルバーモデルだな。

 中身は、いわゆる小型のハイエンド(高級)コンパクト。ハイエンドコンパクトの定義はあいまいだけど、ちょっと大きめの撮像素子を搭載し、レンズはワイド端がF1.8〜2.0クラスの明るさで、ほとんどの機種がなぜか鏡胴付け根部分にコントロールリングを搭載しているというジャンルといっていいかな。
 ここ1〜2年で一番の激戦区じゃないかというくらいで、キヤノン「Powershot S120」を筆頭に、ニコン「COOLPIX P330」、パナソニック「LUMIX DMC-LF1」、そこに参入するのがXQ1というわけ。ライバルはS120です、とは関係者の言。
 その上には1インチセンサーのソニーの「DSC-RX100」や、価格は上がるけどさらに明るいレンズを搭載したパナソニックの「DMC-LX7」やオリンパスの「STYLUS XZ-2」、富士フイルムの「FUJIFILM X20」も控えている。その中でXQ1はデザインがすっきりしてていいという以上のインパクトを出せるのか。さっそく見てみよう。
●X20のクオリティをこの小型軽量で
 XQ1の撮像素子は同社「FUJIFILM X20」と同じ2/3型のX-Trans CMOS IIセンサー。2/3型と他社よりちょっと大きく、ローパスフィルターレスで有効1200万画素。さらに点像復元処理でディテールの描写力を上げている。本体サイズは100(幅)×58.5(高さ)×33.3(奥行き)ミリ、206グラム(バッテリー、メモリカード含む)といわゆるコンデジのサイズに収まっている。 撮像素子には像面位相差AFを搭載。AFは0.06秒とカタログに書いてあるほどで、明るい場所ではすっとピントが合うし、多少暗くてもコントラスト検出AFに自動的に切り替わるのでAF面での不満はほとんどない。 レンズは25-100mm相当のほどよい4倍ズームで、F1.8-4.9。望遠端はちょっと暗いが、それでもPowershot S120(F5.9)やCOOLPIX P330(F5.6)よりは明るめだ。 2/3型センサーとしてはなかなかの描写力だ。
 ただ、使ってて気になったのは撮影最短距離が長いこと。確かに広角端ではレンズ前3センチまで寄れるけど、35ミリ相当では約13センチ、50ミリ相当では30センチを越える。マクロ撮影ってちょっと望遠に振って撮りたいことが多くて、料理なんかもそうだけど、少しズームすると急に寄れなくなるのは残念なところ。まあこのクラスのカメラはその傾向が強いのだけれど、ちょっと残念。
 連写は強力。いろいろと連写モードを持っているが、最速で秒12コマ(このスピードで9枚まで)はなかなか。ゴロゴロ転がってる猫を連写で押さえたのがこちら。室内で動いてる猫って、連写で撮って後から被写体ブレしていないのを選ぶのが一番簡単。 ISO感度は最高ISO12800まで。高感度時のノイズはライバル製品と比べて少ないわけじゃないが、ディテールはけっこう残している感じだ。
●クリックのない滑らかなコントロールリング
 では使い勝手の話。操作に際しては軽快感があり、ボディ自体が軽量なこともあって、両つりストラップで首から提げて気軽にスナップを撮るにはすごくいい感じだ。 撮影モードはP/A/S/Mの各モードに加え、SR+とAUTOとフィルター、アドバンスト(Adv.)、シーンモード(SP)と用意されており、X20と基本的には同じ。FUJIFILM XF1にあったEXRモードはない。オート系の撮影モードが通常のAUTO、シーン自動認識オートのSR+、さらにプログラムAEと3つあるのは多い気がする。SR+とプログラムAEの2つでいいんじゃないのかとちょっと思う。
 操作系でのポイントはレンズ周りのコントロールリングと、XF1から採用されたE-Fnボタン。コントロールリングはクリック感がなく無段階で回転するタイプで、MF時に使うといい。MFモードにしてすーっと回し、ピーキング機能と組み合わせると気持ちよくピントを合わせられる。
 コントロールリングの機能はもちろんカスタマイズ可能。メニューから変更してもいいし、E-Fnを使えばその場で変えることもできる。デフォルトでは各モードに応じて最適な内容(絞りやプログラムシフト、シーンポジションなど)に切り替わる。
 E-Fnはボタンを押すと十字キー+再生と録画ボタンの計6つに仮装ボタンが割り当てられる。例えば、何もしない状態では十字キーの左は「マクロ」だが、E-Fnを押すとISO感度になるので、ISO感度を変えたいときには、E-Fn→左キー→背面のリングで調節できる。この時にフロント部のリングを回せば、コントロールリングに割り当てる機能を変更できる。慣れればなかなか快適な機能だ。
 撮影機能はX10やX20といったシリーズ製品を継承している。Adv.モードには360度パノラマ、多重露出、連写重ね撮り、ぼかしコントロールといった複数回撮影して合成する系の機能が、Filter(アドバンストフィルター)にはトイカメラやミニチュア、ソフトフォーカスといったデジタルフィルター系が、SP(シーンポジション)には各種シーンモードが用意されている。
 「ぼかしコントロール」は使いどころが難しい。被写体との距離や被写体によって失敗することがあるからだ。成功例をひとつ。
 そのほかには、Wi-Fiを使ってその場にいる(スマホを持ってる)友だちに簡単に写真を渡せる機能や、microUSB端子を搭載してUSB充電が可能になったことが着目点として挙げられる。こういう常用系コンデジだと、microUSBケーブルを使ってUSB用ACアダプタやモバイルバッテリーから簡単に充電できるのは非常に便利。
 そんな感じで、フロント部にリング、背面にホイールを備え、細かなコントロールをしながら、でも気楽に撮れるコンパクトといった感のあるXQ1。凝った撮影をしたいならX20の方がレンズも明るいし、しっかりグリップできるのでお勧めだが、気軽にどこででもオートで撮れ、時には凝った撮影もできるというスタンダードなカメラを探しているなら、XQ1はいい選択だ。
 ギミックが目立ったXF1より普通にはなったけど、こっちの方がシンプルでミニマムで魅力的。同クラスにライバルは多いけれども、デザインのシンプルさを重視したいならこれだなと思う。

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