2014年3月25日火曜日

異常事態が進行中 「銀行券ルール」って何?/木暮太一のやさしいニュース解説

これで国民全員で危ない橋を渡ることになりますね。
問題は全員ほとんどわかっていないことと、分かっていても他に選択肢はないことです。
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先日、新年度予算案が国会を通過しました。新年度に使うお金の額と、その使い道が決まったわけです。2014年度の予算総額は95・9兆円になりました。ちなみにこの金額は、過去最大です。消費税増税後に景気が低迷することも視野に入れ、相変わらず「大盤振る舞い」が計画されています。足元の景気をよくするために仕方がないと。 このままだと、「銀行券ルール」が無視され続け、日本経済は大変なことになってしまいます。「ん?? "銀行券ルール"? 聞いたことないなぁ」 あまり知名度はありませんが、とても重要なルールです。 この"銀行券ルール"が何かを説明するために、いま何が起きているか、なぜ"銀行券ルール"が危ない状態にあるのかを解説します。 国会を通過した予算案だと、例年どおり40兆円を超える赤字があります。「税金で集められる金額よりも、政府が使うお金の方が40兆円以上、多い」ということです。そして、この赤字分を誰かが補てんしなければいけないということです。「赤字を補てんするって、どういうことだっけ?」誰かが国にお金を貸さなければいけないということです。つまりその分だけ誰かが国債を買うのです。本来であれば、国が使うお金はすべて税収で賄わなければいけませんが、到底足りないので、今回新しく国債を41兆2500億円発行する予定です。「これから景気が良くなるから、国民に買ってもらおうとしてるの?」いえ、そうではありません。政府がアテにしているのは日銀です。日銀が買うんです。「あぁ、なんだ。じゃあ大丈夫だね。日銀だったらたくさんお金持ってそうだもん」それが、そうでもありません。たしかに、日銀はお金を刷ることができるので、それだけ考えるといくらでも国債を買うことができます。ただ、それは本来「禁じ手」です。「なんで??」 それをやってしまうと、財政規律が乱れてしまうからです。日銀が無尽蔵にお金が刷って、無尽蔵に国債を買うとします。日銀が国債を買ったら、その"代金"を政府が受け取ります。そして、政府はそのお金を使います。 そうすると、世の中に無尽蔵にお金が流通することになりますね。「そうだね。で??」
 こうなると、お金を手にする人が大幅に増えます。売られている商品の総額をはるかに超えて、多額のお金が流通することになります。 そうすると、お金を手にした消費者が、どんどん商品を買いに来ますね。「お、景気が良くなるね! いいことじゃん!」 たしかに適度のインフレであればいいかもしれません。しかし、度が過ぎると大変なことになります。お客さんがどんどんきますが、商品が足りません。多くのお客さんに「売り切れました」と謝らなければいけなくなります。それは嫌ですね。 そうならないためにお店ができる簡単な解決策がひとつあります。「それは何??」 値段を上げることです。値段を上げれば、お客さんの数が減るので、また商品量とバランスがとれるようになります。「ああ、なんだ。よかった」 それがよくないんです。商品の値段が上がってしまうのです。これを「インフレ」といいますね。 もし大量の国債を買うために、日銀が急激にお金を刷ったら、急激にお金が世の中にあふれ、急激なインフレになります。 急激なインフレになれば、これから商品の値段がどんどん上がっていくのと合わせて、お金の価値がどんどん下がっていきます。つまり、せっかくの貯金が紙くずになってしまうのです。そうなると、誰もお金を信用しなくなり、金やダイヤなどの貴金属やモノに変えようとします。 これが行き過ぎると、物々交換の経済に逆戻りしてしまいます。だからインフレはいけないのです。「……それは、やばいな」 こういうような事態に陥らないために、日銀が独自に設定しているのが"銀行券ルール"です。これは、「日銀の長期国債の保有残高を銀行券(お札)の発行残高以内に抑える」という内容で、要するに、「日銀が買える国債の量に、上限を設ける」というルールです。 このルールを自主設定することで、無尽蔵に国債を買わされることを避けます。政府が「日銀さんよ、景気対策やりたいから、もっと国債買ってくれよ」といっても、「いやいや、政府さん。"銀行券ルール"がありますから無理っす」と言えるのです。
ただ、去年からこの「銀行券ルール」が一時停止されています。"アベノミクス"に伴って積極的に国債買い入れを進めるのが目的です。「え? いいの??」 よくありません。短期的には、景気をよくするために目を潰れるかもしれません。しかし、長期的には絶対にいけません。現在はその「いけない状態」なのです。 日銀は、今のところ政府に「全面協力」をしていますが、この姿勢がいつまで続くとも限りません。もともと、日銀は政府の一部ではなく、独立した組織です。日銀は日銀の仕事があり、「インフレを起こしてはいけない」という責任があります。  そもそも日銀が際限なく買うというのは「異常な事態」なのです。 いくら消費税増税の影響を抑えるためとはいえ、その異常な事態を前提にした借金からは、抜け出さなければいけないと思います。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140325-00000008-wordleaf-bus_all

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