2013年6月20日木曜日

<厚生年金基金>「代行割れ」潜むリスク…改革法が成立

 年金基金って聞こえはいいし、目的や利点などもはっきりしています。しかし、それはどれだけ確実なものであるかは誰でもわからないです。それを設計して実現させた人たちは、集めた資産の「運用」によって利益を得て受領者への支払いを賄う計算をしています。
 しかし、現実としては、「運用」とは「ギャンブル」に等しいことしかしていないので、経済全体は下向きになっていれば資産は元本割れになります。それは、まだ「真面目に」「運用」している場合に限り話です。AIJ投資顧問のようなインチキ詐欺ものに当たると、サラリーマンがコツコツ払っていたお金はただ持っていかれてドブに捨てられるだけです。

<厚生年金基金>「代行割れ」潜むリスク…改革法が成立
毎日新聞 6月19日(水)21時50分配信
企業年金の一種、厚生年金基金(約560基金)に解散を促すことや、専業主婦らの年金切り替え漏れへの対応を盛り込んだ年金制度改革関連法が19日、参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立した。同基金全廃方針を撤回し、財政が健全とされる約1割の基金は存続を認めた。国に代わって厚生年金の一部を運用している同基金の存続を認めたことで、厚生年金の支給に必要な資金を欠く「代行割れ」基金が残る可能性もある。

 AIJ投資顧問による年金消失事件を受け厚生労働省は民主党政権下の2012年秋、全基金を10年で全廃する案を打ち出した。

 だが、自民党政権は関連法で厚生年金の支給に必要な額の1.5倍以上の資産を持つ基金など約1割は存続を認めた。代行割れ基金には来年4月の法施行から5年以内に解散か他制度への移行を促す。5年を過ぎても資産が基準額に満たない基金には厚労相が解散命令を出せる。また民主党の要求で付則に「政府が10年以内に(全基金を)解散するよう検討する」との文言を入れた。ただ、解散命令は「できる」というだけで、裁量の余地は残る。

 代行割れの揚げ句、母体企業が倒産すれば年金の負債は厚生年金全体の保険料で穴埋めされる。田村憲久厚労相は「強制的にやめれば財産権、期待権の問題も出る」と理解を求めるが、専門家の間からは「基金と無縁の厚生年金加入者には存在しないはずのリスクを押しつけられるようなもの」との批判も出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130619-00000112-mai-bus_all


質問なるほドリ:厚生年金基金「代行」って?=回答・鈴木直
毎日新聞 2012年11月03日 東京朝刊
◇保険料一部を企業が運用 実績悪化でも給付減額できず

 なるほドリ 厚生年金基金(こうせいねんきんききん)の「代行(だいこう)部分」って何回聞いても分からないんだけど。

 記者 国が運営(うんえい)する厚生年金の保険料率(ほけんりょうりつ)は現在年収の約16%で、会社と社員が半分ずつ負担します。厚生年金基金のない会社は16%分全額を国に納め、社員は老後に国から基礎年金と厚生年金を受け取ります。基金のある会社は例えば国に12%分だけ払い、4%分は企業年金の掛け金とともに基金に納めます。OBが国から受ける基礎・厚生年金は12%に見合う分だけで、4%分は企業年金と合わせて基金から受け取ります。本来は国が行う厚生年金の運用や給付をするために「代行」と呼ばれ、企業年金なのに「厚生年金」の名が付くのです。代行部分の保険料率は社員の所得や年金支給状況などによって2・4〜5%の幅があります。

 Q なぜそんなことするの?

 A 基金は厚生年金保険料の一部を受け取るため、より多くの資金を運用に回せます。厚生年金基金制度ができたのは高度経済成長期の1966年。資金が多ければ運用益は確実に大きくなりました。ところが今は運用環境が良くないので、むしろ重荷になっているのです。

 Q 損失(そんしつ)が大きくなるんだ。

 A 問題はそれだけではありません。運用成績が悪く、代行部分の厚生年金を払う資金もない状態を「代行割れ」といいます。11年度末時点で全577基金の半分、287基金が代行割れです。企業年金はOBの3分の2以上の同意などで削減(さくげん)できますが、公的年金の代行部分は減額できず、基金を解散(かいさん)するには代行部分の支給に必要な資金を全額国に返さなければなりません。基金の母体(ぼたい)企業の責任で穴埋めするのが大原則ですが、お金がなく解散できない基金が少なくないのです。

 Q じゃあ、どうするの?

 A 厚生労働省は解散の時に返す金額を「おまけ」し、解散をしやすくする方針です。おまけ分だけOBに払う厚生年金の財源(ざいげん)が不足するので、その穴は、みんなから集めた保険料で埋め合わせようという考えです。

 Q 保険料で救済(きゅうさい)するの?

 A はい。ただ、厚生年金加入者のうち半分程度の人は企業年金がなく、納得(なっとく)できない人もいるでしょう。そこで厚労省は不足分の返済(へんさい)期限を延ばすことで保険料を使わない手法(しゅほう)も案に含めました。ただ、「自己責任」を迫ると企業の倒産(とうさん)が相次ぐ可能性もあります

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