2014年7月19日土曜日

iOS 8でメッセージアプリは大きく変わる - 松村太郎のApple先読み・深読み

その一、やっと他の会社に追い付いたところで、どうして自慢したかのように喜んでいるだろうか。FB何かショボいサービスを基準にしては、恥ずかしくないだろうか。
その二、めったに使わない機能を一杯詰め込んでは確かに大きく変わったとは言えるが、使えやすくなったと違う。
その三、便利な機能が増えたからと言って、人間が幸せになると限らない。賢くなるとも限らない。いや、むしろ逆だ。
その四、人間を限りなく機械に依存させぬのは、社会の破壊を招くしかない。一時に得するのは、株主だけだ。
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●メッセージアプリの機能とダブるアプリとは
6月に開催された開発者イベントWWDC14で発表され、空きにリリースが予定されているiPhone・iPad向けの新しいOS、iOS 8の機能を1つずつ紹介しながら、将来のiPhoneの使い勝手がどのように変わっていくのかを考える。今回は、モバイルメッセージについてだ。

通話以上に使われるようになった文字での短いメッセージのやりとりは、携帯電話のキラーアプリとも言える機能だ。ご存じの通り、日本からアジア方面ではLINEが急速に広まり、国内では携帯電話会社が発行するメールアドレス(いわゆるケータイメール)からのリプレイスを果たしたといえる。

またFacebookは、ユーザー間でメッセージのやりとりができるFacebookメッセンジャーをiPhoneだけでなくiPadにも対応させ、通話やスタンプといったトレンドを取り入れた。同時に、世界最大のモバイルメッセージングアプリWhat's Appを買収したことも記憶に新しい。

AndroidをコントロールするGoogleにも「ハングアウト」という複数人のビデオ通話に強いメッセージアプリを有しており、iPhone・iPadユーザー向けにもアプリが用意されている。

なお、Androidスマートフォンで利用する場合、FacebookメッセンジャーもGoogleハングアウトも、電話番号でメッセージが届くSMS(海外ではText)の読み書きを行うアプリとして指定することができ、よく使うメッセージサービスとSMSを統合して管理することができる。

では、iOS 8でのメッセージアプリはどんな機能があるのか見ていこう。

●iOS 8でのメッセージアプリの新機能
○メッセージアプリの、iOS 8での新機能とは?

iPhone向けのメッセージアプリはこれまで、SMSとMMS、iMessageに対応してきた。日本ではケータイメール(例えば @softbank.ne.jp)をMMSとして受信することもできる。FacebookメッセンジャーやGoogleハングアウトが携帯電話のSMSに対応しているが、iPhoneのメッセージアプリははじめからこれらが統合されていた。

iMessageは、電話番号やApple ID等のメールアドレスを使ってメッセージをやりとりすることができるAppleのサービスで、同じApple IDでログインしているiPhone、iPad、iPod touch、Macのいずれのデバイスからも読み書きをすることができる。

WWDC14で披露されたiOS 8でのメッセージの新機能は、グループ機能と添付ファイルに力点が置かれて紹介されていた。非常に乱暴な言い方をすれば、Facebookメッセンジャーでできることに全て追いついた、ということだ。

グループメッセージングは、1:1ではなく複数人で作るグループで1つの部屋を共有するような形でメッセージをやりとりする機能だ。これまでも、宛先を複数人追加することでメッセージのやりとりを行うことができたが、これを更に拡張することができるようになる。

グループにタイトルを付けたり、メンバーの編集を行うという機能は、新たに搭載された機能となる。例えば、複数の家族で数台の車で温泉旅行に行く時に、「温泉旅行」というタイトルのグループメッセージを作成すれば、何の話題で会話が進んでいるのかが一目瞭然になる。

新しい機能として位置情報の共有が行えるようになり、メンバーのアイコンが地図上にマッピングされる仕組みも導入される。前述の例の温泉旅行の場合、各自の家からバラバラに出発してどこかのサービスエリアで集合、というときに、後どれくらいで合流できるのかわかりやすくなる。

●音声を録音して貼付も可能に
○グループメッセージで、写真を楽しむ

グループメッセージング以外に大きな変更は、写真やビデオに加えて、音声を録音して添付できるようになったことだ。繰り返しになるが、これもFacebookメッセンジャーには実装されている機能である。

日本では日常的に使わないかもしれないが、クルマ移動が多い米国では、ハンズフリーでもスペルチェックなしにメッセージが送れるとして、音声メッセージはよく使われている印象だ。ただしその実装の方法は、その場で撮影・録音したメディアを素早く添付して送るための新しいインターフェイスとともに追加された。

iOS 7までは、メッセージの入力欄の左側にカメラアイコンが付いており、カメラを起動して写真や動画を撮影したり、撮影済みの写真を選んで送信することができた。新しいiOS 8の画面デザインは、カメラやマイクのアイコンをタップするとすぐに録画・録音が始まり、録画が終わるとともに送信できる。もし送りたくなければ、キャンセルもできる。

こうした新しいUIは、Facebookに限らず、写真や動画をより簡単に共有する手段としてiMessageを進化させようとしているAppleの意志が見える。手軽な写真共有のアプリとしてSnapchatが注目されていたが、こうしたトレンドを意識しているようだ。もっともiMessageでは、Snapchatのように送信した写真は消えないのだが。

しかしこの消えない、ということを逆手にとって、メッセージのやりとりやグループメッセージで共有された写真には、共有フォトストリームのようにきれいに写真が並べられたアルバム機能が採用されている。フォトストリームを共有しなくても、メッセージのやりとりの中で写真やビデオ、位置情報を添付すれば、自動的にアルバムが出来上がる仕組みだ。

シンプルでわかりやすく、またコミュニケーションそのものと、その結果を楽しくしてくれそうだ。

●iPad、Macとのより深い連携も
○同期して、iPad、Macから読み書き可能に

筆者がiMessageでのコミュニケーションが気に入っている点は、iPhoneやiPad、Macの間で深い連携が取られている点だ。

FacebookメッセージもiMessageも、新着が届くと、iPhone・iPad・Macに通知が届く。このいずれかのデバイスで読んで返事を書くことになるのだが、やはり大きなキーボードがあるMacでのメッセージングは快適で、Macが目の前にあれば必ずそちらで返事をしてしまう。

そうした使い方をしている場合でも、iMessageなら、いずれかのデバイスでメッセージを読めば、他のデバイス上の通知は自動的に消えるのだ。こうしてパソコンからメッセージのやりとりをしていても、iPhoneの画面が未読のメッセージであふれているということがなくなる。

○iOS 8とOS X Yosemiteでは、こうした対応がもう1歩深められる。

これまでデバイス間で同期されていたのはiMessageのみだったが、これがSMSとMMSにも拡大されるのだ。携帯電話に紐付いてやりとりされてきたSMSやケータイメール(MMS)が、iPhoneだけでなくiPadやMacでも読み書きできるようになり、現在iMessageで享受していた快適なキーボードでのメッセージングが、ケータイメールにまで拡大されることになる。

●セキュリティで他のアプリよりも一歩リードした存在に?
○追加アプリなしとセキュリティで訴求し、iPhoneを使う理由となるか?

これまで繰り返してきた通り、iOS 8のメッセージ機能は、現在のモバイルメッセージングアプリのトレンドをほぼ全て踏襲した物だ。音声やビデオ通話についても、FaceTimeが利用でき、電話番号でもiMessageで利用しているメールアドレス宛にも、直接かけることができる。

メッセージアプリとの最大の違いは、iPhoneに入っている標準機能であるため、新たなアプリをダウンロードする必要がなく、アプリを購入するためにiPhoneユーザーの誰もが作るApple IDさえあればすぐに使い始めることができる点だ。

アプリのダウンロードとアカウント作成、友達の追加、といったメッセージアプリで必要なステップを経ることがない手軽さと、Macとのより深い連携を楽しむ事ができる点が、iOS 8の新しいメッセージの強みとなる。これに追い打ちをかけるのが、セキュリティ問題だ。

筆者の周りでも、LINEの乗っ取り被害に遭っている友人が少なくない。電話番号やメールアドレスの登録、パスワードの複雑化、他の端末でのログインを不許可にする、といった基本設定で防ぐことができるが、裏を返せばこうした対策をせず、アプリをダウンロードしてすぐにLINEを使い始めてそのまま使っているというユーザーが被害に遭っているのかもしれない。

iMessageの場合、Apple IDの認証が入るため、Apple IDのパスワードを厳重に管理しなければならない。もし漏れた場合、Apple StoreやApp Storeでの購入も可能になるため、LINE乗っ取り程度の被害では済まないが、端末全般で利用するメールアドレスとパスワードの1対をしっかり管理ほうがシンプルだ。

iMessageにはLINEのようなスタンプ機能はないが、簡単さと安心さ、そしてグループ機能などの楽しい機能の追加は、iPhoneユーザー同士の頼れるメッセージングプラットホームとして信頼できるものだ。定着するに従って、iMessageが「iPhoneを使う理由」の上位に位置するようになると、AppleによるiPhoneへの囲い込みに大きな効果を発揮することになるだろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140719-00000017-mycomj-sci

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