2014年7月26日土曜日

第178回 夏の日差しと画角と水着の関係

とてもタイムリーな一夜漬けレッスンです。
ありがたいアドバイス満載です。
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恒例、夏の水着まつりがやってまいりました(編注:違います)。
 実はここ数年、水着ロケの回は、どんな写真を撮るかは現場(つまり、海ですな)へ行くまで考えてなくて、それでも行ってみると、去年と同じ場所であっても、撮るモデルさんは違うし、天候も暑さの具合も微妙に違うしで、ウォーミングアップ代わりに基本的な撮影をしてると、徐々にテーマが固まってくるのだ。

【他の画像】

 今回も同様に、とりあえずフルサイズのデジタル一眼レフとマイクロフォーサーズの2台を用意して海へと繰り出したのであった。

●日向と日陰と広角と望遠

 というわけで、ウォーミングアップ代わりに基本的な話から。

 海へ出かけて、カメラを引っ張り出して、写真を撮ろうとなると、最初に気になるのは陽射しの方向と強さ。夏の陽射しは強くて高い。海に来たからまずは水着姿で1枚、ってとき、どっちから撮るかを考える。

 同じ場所で撮っても、ちょっとした空模様や数時間の時間の違いでこれだけ写りが変わるのだ。

 午後になり、光の条件ががらっと変わったので、午前中と同じポーズをしてもらったのだけど、写真の雰囲気も全然違って面白い。

 同じ位置からもうちょっと寄ってみる。

 やっぱこう、わざとらしく爽やかなポーズの時は順光の方が決まりますな。逆に背中を向けて遠目から撮る時は逆光のシルエット感もいい。逆光には逆光の良さもあるわけで、顔に陰影がつかないからやわらかく撮れる。プラスの露出補正を忘れずに。

 そうそう、昨今のミラーレス一眼やコンパクトカメラで顔認識機能を使うと、自動的に顔に明るさを合わせてくれるので、下手に露出補正かけない方がいいこともある。

 まあ、自分のカメラの癖を知っておきましょうってことですな。海で撮る時は順光は避けたい。撮られる方がまぶしいから。特にちょっと上から見下ろして撮る時は目が太陽の方を向かない角度にいたしましょう。

 もう1つ基本の話。毎回書いてる気がするけど、広角と望遠の使い分け。

 背景が分かりやすいよう、灯台を入れてみた。ちなみに同じ場所で、わたしが彼女との距離を変えて撮ってる。

 で、面白いのは背景よりも彼女の写り。24ミリと75ミリってだけで、顔や身体の写り具合も変わるのが面白いところ。広角になるほど遠近が強く出るので、顔も中心が前に出るようにうつるし、身体を少し斜めにしただけで肩がぐっと手前に出る。逆にちょっと望遠にするとスタイルがよりフラットに見える。広角の方が近距離で撮っていることもあって、より身近感が出るし、望遠だと距離感が出る。

 面白い例をもう1つ。

 うつぶせに寝転がってると、顔、身体、足の順に遠くなっていくわけで、広角だと足が小さく身体も細く見えるけど、望遠だと、顔は小さく身体は大きく見える。

●グラビアっぽい写真はS字が基本

 いつもこの連載では、遊びにいったついでに女子を撮ろう、てなテイストの、行楽的写真を目指していたのだけれども、今回はちょっと趣向を変え、基本を踏まえて雰囲気のある写真を撮ってみようかと思った次第。

 例えば、レジャーシートの上に座ってもらって正面から撮るだけでも、海を背景にして逆光でちょっと物憂げな瞬間を撮るのと、半順光でお茶目な瞬間を撮るのでは、もう同じ人を撮ってもまったく違う写真になるわけで、これが写真の面白いところ。ちなみにどちらも同じカメラ同じレンズ同じ絞り値でありますよ。

 だから人を撮るのは面白い。

 慣れないうちは、身体がリラックスできるポジションを撮ってもらうのがいい。簡単にいえば、立ってるより座ってる方がいいし、座ってるより寝ころんだ方がいい。

 でも上を向くとまぶしいので、晴れた日はビーチパラソルでもないときつい。そこでうつぶせになってもらった。腰がくびれてスタイルもよりよく見える。

 もちろん撮る方も同じポーズで這いつくばるべし。モニタがチルトするカメラなら、しゃがむだけで撮れるから楽なのだけど、這いつくばって目線を合わせるのもまたよし。

 で、身体を横に向けて肘で上半身を支えてもらうだけでグラビア風に。

 今回モデルをしてもらった小林真琴さんはグラビア撮影の経験もあるということで、グラビアっぽいポーズもしてもらった。

 グラビアポーズの基本は「S字」だそうです。腰の角度やひねりでS字を作るのですな。ポーズをつけたいときの参考に。身体をひねるってのはポイント高し。斜め後ろからこっちを向いてもらえば比較的簡単に。

 さて、さらにちょっと場所を変えて岩場へ。海といえば、砂浜と岩場。岩場が近くにあったら足を伸ばすべし。砂浜と違ってワイルド感が出るのだ。そこで岩に座ってもらって2枚。

 岩場だとちょっと視線をはずして物憂げな方が雰囲気が出る。なんか昭和っぽい感じですが。

 岩場がぐっと迫る感じに撮りたいと思ったら望遠で。遠くの岩がぐっと入るように狙ってみた。

 逆にちょっと離れて岩をメインにしてみた。岩の斜めの線を強調しつつ、左上にウミネコ、右に水着の美女という感じで。

 水着となると振り向きポーズを撮りたくなるかもしれない。そのときのポイントは、猫背にならないこと。背筋を伸ばしてもらうのが大事です。

●海辺でのレンズ交換は慎重に!

 いろんな写真を撮ろうと思うと、やっぱりいくつか交換レンズを持って行きたくなるわけである。でもそれはちょいとリスクが高い。

 レンズ交換時にカメラ内部にほこりが入っちゃうのはまあいつものこと。多少のほこりなら、今のカメラは撮像素子を振動させて埃を落とすアンチダストな機能がついていて、よほどのことがないと写りに影響はでないのだけど、海辺は「潮風」なのだ。ベトベトしてるのだ。潮風でついた埃は、ちゃんとセンサークリーニングしないと落ちない。

 よって、レンズを交換するときは、特に風が強いときは、海の家などに避難して交換するとか、バッグの中やタオルをかけた状態で手探りで交換するとか、そのくらい気を使ってもいいくらい。

 今回も最初はけっこう気をつけていたのですよ。

 ストロボを焚いたときのちょっとわざとらしい感じがいい。

 そうそう、超広角で撮る時は、顔が中心にくる構図にするのがお勧め。周辺ほど歪んで写るので、顔を端っこにいれると顔が歪んで写っちゃう。それはちょっとアレなのだ。それに顔を中心にして空を広く入れることで、広角ならではのワイド感も出るし。

 で、ですな、午後、島へ行ったのですよ。

 島に吹き付ける潮風がめちゃ強くて。ここでレンズ交換なんかしたらヤバいぞ、ってのが分かるような場所だったのだけど、灯台の足下へ行ったら、ここで超広角で撮ってみたい、となってしまったのだ。でも足場は悪いし、こっちも疲れてていろいろなことがめんどくさくなってて、まいっか、とその場で12-24ミリという超広角ズームレンズに交換。

 そした撮ったのがこちら。

 近距離で灯台の全形をいれるには超広角レンズじゃないと無理。この足下からぐわっと伸びる感じは広角レンズならでは。

 さらにぐぐっと寄って撮ったのがこちら。

 さて、この灯台写真、空の部分をよく見ると、空にポツポツと小さな染みが浮いてる。

 はい、アウト。

 小さな染みなのだけど、絞り込むと目立つのだ。これより前に撮ったカットではこんな染みはなかったわけで、レンズ交換時についちゃったらしい。というわけで、海でのレンズ交換は要注意。

 結局、2台ともセンサークリーニングに出してきれいにしてもらいました。

 センサーが汚れなかったとしても、海ならではの潮風でカメラに塩分を含んだ埃がついているので、帰宅したらちゃんと掃除をして拭いておくこと。海はそこが厄介なのですな。

 最後におまけで1枚。

 彼女がほら、といって差し出すので何かと思ったら、蟹! いやあ、この連載で毎年水着美女を撮っているわけでありますが、蟹を素手で捕まえたのは小林さんがはじめてであります。

 何気ない一瞬も忘れずに。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140725-00000086-it_camera-prod

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