2015年2月26日木曜日

約4000万画素で記録するハイレゾショットの実力は――オリンパス「OM-D E-M5 Mark II」をチェックする

言ってみれば、訳あり製品であり、4000万画素を鵜呑みしてはならないです。

まず、静止被写体に限って綺麗に撮れることです。

次は、いくら多機能だと言っても、所詮マイクロフォーサードセンサーであることです。

その上に、レンズにも依存することです。
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オリンパス「OM-D」シリーズは、フィルム時代の一眼レフを思わせるクラシックなデザインを取り入れたミラーレスカメラだ。2012年に第一弾「E-M5」を発売したあと、2013年に最上位機「E-M1」を、2014年に入門機「E-M10」を投入し、ユーザー層を広げてきた。

【他の画像】

 今回登場したのは、E-M5の後継機にあたる「OM-D E-M5 Mark II」だ。約3年ぶりのモデルチェンジであり、同社自慢のボディ内手ブレ補正をさらに強力にするなど数々の改良を図っている。

 まず注目したいのは「ハイレゾショット」と呼ばれる新機能だ。これは、0.5ピクセル単位でセンサーを8方向に動かしながら8回撮影したデータを元に、カメラ内で4000万画素相当の高画素データを作り出すもの。搭載センサーの有効画素数は1605万画素であり、その約2.5倍のデータが得られることになる。

 使い方は、カメラを三脚に固定した上で、ドライブモードからハイレゾショットを選択してシャッターボタンを押すだけ。すると、連写と画像処理が自動的に行われ、数秒の処理時間を経て高画素データが記録される。画質モードは、JPEGまたはJPEG+RAWに対応。JPEG+RAWを選んだ場合は、JPEGとハイレゾショットのRAWデータに加え、合成前のRAWデータ1枚も同時保存できる。

 ハイレゾショットの画像サイズは、JPEGでは7296×5472ピクセル(約4000万画素相当)。ファイル容量は17~20Mバイト程度になる。下の写真は、通常撮影とハイレゾショットを比較したもの。通常の撮影では十分に解像しきれない被写体のディテールまで克明に記録できていることが分かる。

 さらにRAWでは、9216×6912ピクセル(約6400万画素相当)という巨大なデータが得られる。ハイレゾショットのRAWは、同社が配布しているPhotoshopの専用プラグインを使って現像可能だ。

 ハイレゾショットで撮る際の注意点は、撮影中にカメラまたは被写体が動くと、動いた部分に縞状のパターンノイズが生じること。上の写真の細部を厳密にチェックすると、わずかではあるが雲の輪郭部分(上の端のほう)にノイズが見られる。屋外風景をハイレゾショットで撮る際は、雲の動きや風による草木の動きに気を付けるようにしたい。

 次の写真も、通常撮影とハイレゾショットを比較したもの。車のライトによる動きを避けるため、赤信号のタイミングで撮影した。こうした建造物は、ハイレゾショットが似合う被写体の1つといえる。

 また、ハイレゾショットはストロボを使って撮ることも可能だ。同調速度は最高1/20秒とやや遅めだが、室内で静物を撮る際などに役立つだろう。ストロボは8回発光し、ストロボ充電の待ち時間は1~30秒の間で設定できる。次のカットは、ストロボ撮影でハイレゾショットを試した写真だ。

 静止した被写体に限るという制約はあるものの、ハッとするような高精細表現が楽しめるユニークな機能といっていい。

●手持ちで楽しめる「OM-D MOVIE」を搭載

 もう1つの注目は、5軸対応のイメージセンサーシフト式手ブレ補正がいっそう強力になったこと。CIPA準拠による補正の効果はシャッター速度5段分。実写では、焦点距離80ミリ相当になる標準ズームのテレ端を使った場合、1/4秒の低速シャッターでもぶらさずに撮ることができた。

 さらに動画撮影では、この5軸手ブレ補正に加えて、電子式補正を併用できる。以下は、手持ちで歩きながら撮影した動画だ。

 動画関連の新機能では、「クリップス」が面白い。これは、撮影ボタンを押すと、あらかじめ設定した1/2/4/8秒の短い動画が撮影され、それをカメラ内でつなぎ合わせてBGM付きのショートムービーとして仕上げる機能だ。再生画面で順番の変更や静止画の追加ができ、出力の際にエフェクトを加えることができる。

 以下は、クリップスを使って16本の動画と1枚の写真を撮り、1本の作品として出力したもの。BGMには、同社のサイトからダウンロードした素材を使用した。

●撮影自由度を広げるバリアングル液晶

 ボディは、頭頂部にある三角形の意匠を中心にして、左右のバランスが取れた端正なスタイルだ。がっしりとした剛性が感じられ、高品位な雰囲気も漂っている。外装はマグネシウム合金製。ダイヤル類はローレットやダイヤカットを施した削り出しとなる。

 外見上の見どころは、OM-Dシリーズでは初めてバリアングル式の液晶モニターを採用したこと。これまでのチルト可動式とは異なり、上下方向に加えて左右方向にも可動するので、カメラの縦位置/横位置を問わずハイポジションやローポジションでの撮影がしやすくなった。

 特に縦位置撮影を多用する人にはうれしい改良といえる。ただしバリアングル式は、液晶の中心軸がレンズの光軸からずれることや、可動する際に左右に開く手間がかかるといった弱点もある。好みが分かれるかもしれない。

 前モデルE-M5と比べた場合、ボディのサイズ感はあまり変わらないが、ボタンやダイヤル類のレイアウトは一新されている。特に大きいのは、電源スイッチと再生ボタンの位置が移動したことと、背面にファンクションレバーを新設したこと。さらに、モードダイヤルにはロック機構が備わり、カスタマイズ可能なファンクションボタンは数が増えている。

 前モデルのユーザーにとっては最初は戸惑うかもしれないが、慣れれば各種機能へのアクセスがスムーズに行える操作インタフェースといっていい。前モデルのソフトすぎるボタンの感触が改善されたこともありがたい。

 ストロボはボディには内蔵せず、小型の外付けストロボ「FL-LM3」が標準付属する。前モデルの付属ストロボとは異なり、発光部が上下左右に動くバウンス対応のストロボである。これも便利だ。

●電子制御による静音シャッターに対応

 撮像素子には4/3型有効1605万画素のLiveMosセンサーを、画像処理エンジンには「TruePic VII」をそれぞれ搭載する。実写では、クリアで癖のない発色と、シャープな細部再現性を確認できた。高感度ノイズは前モデルより低減され、ノイズリダクションによる解像感の低下も抑えられている。

 個人的に最も気に入ったのは、シャッターボタンを押した際のレスポンスのよさだ。シャッター音は小さくて短く、レリーズ直後のシャッターチャージは素早い。そのうえシャッターショックが小さく抑えられているので、1回1回のシャッターがとても心地よく感じる。

 さらに、電子先幕シャッターが作動する低振動撮影モードや、先幕と後幕の両方が電子シャッターになる静音撮影モードを利用して、撮影時の音と振動をいっそう抑えることも可能だ。

 フィルムカメラを思わせるレトロなデザインについては好みが分かれるところ。なおボディのカラーバリエーションは、今回試用したシルバーモデルのほかに、ほぼ全面を黒で統一したブラックモデルが用意される。色だけでなく表面の質感にも差があり、全体の雰囲気が異なるので、購入の際は店頭で見比べることをおすすめする。

 OM-D E-M5 Mark IIは、同社の最新技術が詰め込まれた非常に多機能なカメラだ。使いこなし甲斐のあるカメラともいえる。初めてのOM-Dユーザーにとっては、すべての機能を使いこなすには少し時間がかかるかもしれないが、写真撮影を趣味にしている人なら、個々の機能や設定を覚えていくこと自体も楽しめるはずだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150225-00000011-it_camera-prod

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