これは、人間の感情のいい加減さを表すものですね。
本人が有名になったのは、才能もあったでしょうけど、全聾であるからの同情心もあったでしょう。勘違いも様々な形がありますね。
クラシックでは大ヒットとなった「交響曲第1番HIROSHIMA」。実際の作曲者は別にいたという、衝撃の事実の公表に、大きな波紋が広がっている。渦中の人となっているのは、両耳が聞こえず、「現代のベートーベン」とも称されてきた作曲家・佐村河内 守(さむらごうち・まもる)さん。
佐村河内氏は「被爆2世のクラシックの作曲家が作った音楽を、被爆3世たちが演奏する」と話していた。
「現代のベートーベン」というのは、両耳が聞こえない作曲家として知られてきた佐村河内さんを紹介するときに、よく使われる言葉。
佐村河内さんの名を一躍、世に知らしめた曲は、「交響曲第1番HIROSHIMA」。
2008年に広島市で開かれた、G8(主要8カ国)議長サミットの記念コンサートでも演奏された。
公式プロフィールによると、佐村河内さんは、被爆者の両親のもと、広島に生まれた被爆2世。
かつての取材に対し、「音楽を通して、平和への祈りや核廃絶を訴えたい」と話していた。
しかし、そうした思いから作られたという、この曲が、佐村河内さんの作品ではないことが、5日、代理人を通じて発表された。
佐村河内氏の代理人は「佐村河内 守本人が、単独で作曲したとしてきた曲に関しましては、十数年前より、楽曲の記譜行為については、特定の別の人物が行うようになっていました」とコメントしている。
佐村河内さんのアルバムは、クラシックの売り上げとしては異例という、およそ18万枚を記録。
今回の発表では、その曲以外にも、東日本大震災の被災者のために書き下ろしたというレクイエムも、特定の別の人物によるものだったと明かされた。
宮城・石巻市で2013年3月、「本当に神に誓って、命がけで書きましたので、聞いてください」と話していた。
代理人の弁護士によると、佐村河内さんは、十数年前から、ある作曲家に曲作りを依頼。
その作曲家は、伝えられた楽曲の構成やイメージをもとに、曲を作り上げていたが、「作曲者」としてクレジットされてきたのは、佐村河内さんの名前だけだった。
そして、オリンピックを目前に控えた高橋大輔選手(27)が、大一番で使用する曲も、佐村河内さんの作曲とされてきたものだった。
東京・港区にあるレコード店には、佐村河内さんのCDが、クラシックの特設コーナーに置かれている。
突然、明らかになった人気作曲家の「ゴーストライター」問題。
佐村河内さんの特設コーナーを設けていた、東京堂の大谷芳弘社長は「先ほど知ったんですけれど、一瞬、びっくりしました。メーカーから回収となれば、うちは特約店ですから、(回収)せざるを得ない」と話した。
これまで明らかになっているのは、出身地である広島を題材とした曲や、震災の被災者へささげる曲が、別人の作曲家によるものだということ。
佐村河内氏は2013年6月、東京・銀座で「石巻で被災した人たちとたくさん会って、この曲を書き上げたわけですけれども。広島時代から持っていた気持ちを大事に、曲を作っていきたいと思っています」と話していた。
2008年、佐村河内さんに対し、広島市民賞を授与した広島市の松井一実市長は、5日、コメントを発表した。
松井広島市長は「本市出身の佐村河内 守さんの報道については、思いもよらないことであり、大変驚いています。事実を確認したうえで、これまでの対応について、見直す必要があるか検討したいと思います」とコメントしている。
また、2009年に、被災者にささげる合唱を披露した際の合唱団の指導者、広島県合唱連盟の谷 千鶴子理事長は「ご自身、被爆の関係もありますし、広島に対する思いが強くて、その点は、すごく残念な気がいたします」と話した。
波紋はさらに広がり、フィギュアスケートの高橋大輔選手が、オリンピックのショートプログラムで使用する予定の曲も、実際は、佐村河内さんの手によるものではないことがわかった。
クラシック音楽のファンは「すごくショックだったんですけど。ただ、わたしは、あそこまで頑張ったんだから、そこまでほじくり出さなくてもいいのかなと思いましたけど」と話した。
佐村河内さんの楽曲を販売している日本コロムビアは、ウェブサイトにおわびのコメントを掲載した。
取材に対し、別の作曲者の存在は知らなかったとして、現在、全ての佐村河内さんの作品の出荷や配信を停止している。
関係者は、プロフィールに掲載されている「50歳」という年齢や、これまでのプロフィールも、「今となっては、本当かどうかもわからない」と話している。
また、この事態を受け、3月9日、富山・魚津市で、佐村河内さんの曲が演奏される予定だったコンサートは中止になった。
すでに販売済みの730枚余りのチケットは、払い戻しされるという。
チケットの購入者は「わたしと主人と、友達を誘って行くつもりだったんですけど。残念ですね。聴きたかったけど、複雑な気持ち」と話した。
現在の佐村河内さんについて、代理人は「ファンの方々を裏切り、関係者の方々を失望させるもので、決して言い訳のできないことであると、深く反省している次第です」とコメントしている。
この佐村河内氏の音楽活動については、その存在がクローズアップされた2013年、「スーパーニュース」でも、2回お伝えしました。
当時は、佐村河内氏の楽曲に、別の作曲家が関わっていたことをうかがわせる状況などはなく、作品は本人によるものという前提で、取材・放送したものです。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00262526.html
Business Journalから2014年02月06日の連載である「全聾作曲家・佐村河内守の別人作曲騒動、問われる違法性、損害賠償請求の可能性も」は以下のような詳細報道もありました。人間って、度までにもおかしくなるものですね。
2月5日、「全聾の作曲家」「現代のベートーベン」として知られる作曲家の佐村河内守氏の代理人弁護士が、「十数年前から本人ではなく、別の人物が作曲していた」ことを報道各社にファクスで明らかにし、衝撃が走っている。
代理人によると、これまで佐村河内氏本人がすべて作曲したとしていたが、実際には佐村河内氏は曲のイメージや構成を提案し、別の人物が作曲していたという。この人物は作曲家として表に出づらい事情があったようだともしている。
これを受け、18万枚のヒットを記録した『交響曲第1番 HIROSHIMA』などCD3枚、DVD1枚を販売していた日本コロムビアは5日、それらすべてを出荷停止すると発表。また、昨年3月31日に放送されたNHKスペシャル『魂の旋律~音を失った作曲家~』で佐村河内氏を特集したNHKは「放送当時、本人が作曲していないことに気づくことができませんでした」と釈明した。
佐村河内氏は、被爆2世として広島に生まれ、35歳の時に聴力を完全に失い、それ以来「絶対音感」を頼りに作曲しているとしていた。また、ソチ五輪でフィギュアスケートの高橋大輔選手が演技で使用する「ヴァイオリンのためのソナチネ」も別人が作曲したものだという。
5日になって突如代理人が今回の騒動を明らかにしたのは、本日(2月6日)発売の「週刊文春」(文藝春秋/2月13日号)がこの事実をスクープし、『全聾の作曲家はペテン師だった!』と題した記事を掲載することがわかったからだ。全8ページにも及ぶ文春の記事では、実際に作曲を手がけていた桐朋学園大学作曲専攻で講師を務める新垣隆氏が実名で告白。2人の特殊な関係性や佐村河内氏の“偽りの作曲過程”が詳細にレポートされている。必読の内容だ。
文春の記事によれば、普段は街のピアノ教室の発表会の伴奏やレッスンの伴奏をするなどしていた新垣氏が、ようやく桐朋学園大学非常勤講師の職を手に入れた1996年、まだ聴覚障がいがなかった佐村河内氏から、氏が楽譜に強くないため、映画音楽用の短いテーマ曲をオーケストラ用の曲に仕上げてほしいと頼まれ、引き受けたのがきっかけだったという。この時、佐村河内氏の「ぼくの名前で発表したい」という申し入れを受託した新垣氏は、自らが作曲した音楽が多くの人に聞かれることが「純粋に嬉しかった」そうだ。だが、一方で「今から思えば浅はかだった」「どうせ売れるわけはない、という思いもありました」など、複雑な思いも吐露している。その後ゲーム『鬼武者』のテーマ曲が話題となった頃、突如、佐村河内氏から「全聾になった」と告げられたというが、最近の新垣氏との会話では手話などを使わずに「自宅で私と会うときは最初から普通の会話」だったという。
ではなぜ今回、新垣氏は実名で告白したのか。記事では、何度も世間を欺くのをやめようと諭した新垣氏に対し、佐村河内氏が、「新垣氏が曲を作らなければ、妻と一緒に自殺する」といった旨のメールなどを送ったため、取り返しがつかないことになる前に公表したという。文春の取材に対しても佐村河内氏は、事実を公にされるなら「死して詫びるしか選択肢はないのですね」などと書かれたメールを返信している。
●佐村河内氏が背負う法的責任は?
今回の騒動は、佐村河内氏と新垣氏だけの個人間の問題にとどまらない。これまで多くの人たちが特殊なバックボーンを持つ佐村河内氏の楽曲であることを踏まえて、CDなどを購入したり、その作品や活動を支持したりしてきたはずだ。そんな、周囲を欺き続けた佐村河内氏に法的責任はないのか? 著作権などの知的財産権に詳しい骨董通り法律事務所の福井健策弁護士に話を聞いた。
「報道されている通り、佐村河内さんが曲のコンセプトや構成を提案しただけだとすれば、本人が作曲したとは言えませんし、曲の著作権も実際に作曲した人が有し、著作者となります。ただ、有名人などが著者として本を出すときなど、著者本人ではなくゴーストライターが書く場合は少なくありません。こうした際は、ゴーストライティング契約を結ぶのが一般的です。今回、両者間にどのような合意があるかは現時点で不明ですが、ゴーストライティング契約では実際の著作者(ゴーストライター)の権利を著者に譲渡するという内容になっていることが多いです。また、契約内容にかかわらず、著作者人格権(編注:著作者の人格的な権利を保護するもので、『氏名表示権』などがある)は著作者に生じますが、名前を公表しないという契約にしていることもあります」
実際の著作者である新垣氏がどのような権利を有するかは、両者の契約内容次第ということになるようだが、ファンが「騙された」と民事訴訟を起こす正当性については「理論的にはあり得ますが、CDの価格と裁判の費用を考えると、損害賠償請求を起こすのはあまり現実的ではないですね。あり得るとすれば、むしろレコード会社などでしょうか」という。
さらに、刑事的責任については「大正時代にゴーストライティングの判例がありますが、その時には無罪となっています。ただし、現行の著作権法121条には『著作者でない者の実名又は周知の変名を著作権者名として表示した著作物の複製物を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処す』とあります。佐村河内さんの行為は、彼の作品であると期待して対価を払ったレコード会社やCD購入者からすれば困ることなので、違法の可能性はあります」との見解を示す。
しばらくの間、世間やメディアを騒がせることになりそうな今回の騒動。法的追及以上に、佐村河内氏が大きな社会的な制裁を受けることは想像に難くない。身から出た錆とはいえ、文春に佐村河内氏が寄せたコメントのような軽率な責任の取り方だけはしてほしくないというのが、誰もが一致する願いだろう。
http://biz-journal.jp/2014/02/post_4079.html
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