2013年7月17日水曜日

ユニクロ、“悲願達成”目前の悩み 好評「4日連続セール」に、思わぬ反動

 「思わぬ反動」はいかにもわざとらしい書き方です。
 安売りしているから、売り上げが上がっても、利益も上がると限らないのは、これはまた小学生でもわかる理屈です。
 いいものなら、それに相応する値段で売るべきです。
 そうでなければ、経済は正常に回らないです。
 残念ながら、物事を安く済ませようという庶民の期待に反する事実です。
 でも、この事実に反して、異常な値下げをすると、いずれ、庶民自分人に戻ってくるに決まっています。

「ユニクロ」や「ジーユー」などのカジュアル衣料品店を展開するファーストリテイリング(FR)が7月11日に発表した今年度第3四半期累計(12年9月~13年5月)決算は、売上高8858億円(前年同期比19%増)、営業利益1240億円(同4%増)の増収増益を達成した。柳井正会長兼社長が、かねてから悲願としてきた「売上高1兆円突破」は間近。だが、足元ではそれを手放しで喜びにくい状況にもある。

 というのも、直近3カ月の第3四半期(13年3~5月)だけを取り出すと、売上高2709億円(前年同期比24%増)、営業利益273億円(同0.7%減)。売上高の大幅な拡大にもかかわらず、利益は伸びていないのだ。この要因を探ると、グループ売上高の約6割を稼ぐ国内ユニクロ事業の採算悪化に行き着く。

国内ユニクロは連続減益

 「フリース」や、「ヒートテック」など過去に社会現象となるヒット商品をいくつも生み出し成長を遂げてきたユニクロ。だが、ここ数年は客数の減少が続き、国内ユニクロ事業は前年度までに2期連続で既存店売上高で前年割れ、連続減益と収益力の低下が続いた。

 そこでユニクロが集客の起爆剤として、12年秋から始めたのが「4日連続セール」だ。従来行っていた毎週土曜、日曜の2日間のセールを金曜、月曜も含む4日間に拡大。12年8月期の決算説明会で柳井会長兼社長が今13年8月期は「プライスリーダーシップを取る」と宣言したとおり、一層の低価格路線を打ち出した。

 結果、12年9月から13年5月までの9カ月間累計で、客数は前年同期比9.1%増(国内ユニクロ)と大幅に伸び、既存店売上高も同5.2%増に反発した。しかし、その一方で、セールの反動が出た。大規模な値引き販売で商品販売の儲けが減り、集客のために投入したTVCM、チラシなどの広告宣伝や、什器の入れ替えなど費用がかさみ、利益を圧迫した。利益柱である国内ユニクロ事業だけを取り出すと、同4.7%減益となっている。

 国内ユニクロの採算悪化を受けて、ユニクロは春夏商戦の途中から低価格路線を一部軌道修正している。4日連続セールこそ継続しているが、セール対象商品の品目数を一部絞るなどして、行き過ぎた値引き販売の抑制に動いている。

「お客様が賢くなられた」

 だが、「お客様が賢くなられた。安いものに対する感応度が高い」(岡崎健CFO)と、セール対象商品の「エアリズム」や「レギンスパンツ」などに販売が集中してしまい、客単価の減少傾向は止まっていない。その結果、値引きのコントロールを計画通り進めることが出来ず、粗利率が会社の想定以上に悪化している。

 グループ全体でみると、今年度(2013年8月期)は中国をはじめとした海外やジーユーの成長が牽引し、増収増益を達成する見通しだ。ただ、14年春には消費増税が予定されているうえ、柳井会長兼社長は実質値引きとなる価格の据え置きを表明しているため、来年度の国内ユニクロ事業は、今よりも儲けにくくなる可能性がある。依然として、抜群の高収益企業であることには違いないが、“悲願達成”の目前で、悩ましい事態にも陥っている。
http://money.jp.msn.com/news/toyokeizai-online/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%80%81%E2%80%9C%E6%82%B2%E9%A1%98%E9%81%94%E6%88%90%E2%80%9D%E7%9B%AE%E5%89%8D%E3%81%AE%E6%82%A9%E3%81%BF-%E5%A5%BD%E8%A9%95%E3%80%8C4%E6%97%A5%E9%80%A3%E7%B6%9A%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%80%81%E6%80%9D%E3%82%8F%E3%81%AC%E5%8F%8D%E5%8B%95-1

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