2013年7月3日水曜日

3秒に1台売れる! 中国1000元スマートフォン「Coolpad 7295」

 人口大国だからの数字でしょうけど、やはり見過ごしてはいけないのは廉価版製品というキーワードです。いくらアップルやサムソンの製品に人気があっても、すべての人が手を出せるわけではありません。むしろ過半数の人にはまだ廉価版の魅力はより大きいです。
 事実アップルでもサムソンもこの廉価版市場を見逃していません。但し、どちらも廉価版製造には得意ではないようです。少なくとも、「クソまじめ」にやっていくと、ルールには疎い現地メーカーに勝てるはずもないです。正論は別として、ある程度それを念頭に入れないと、この巨大市場を攻略することは難しいでしょう。
 同様に、インド市場にも独特なビジネス文化があり、うまく適応できないとやはり商売になりません。
 中国の通信事業者が運営する直営店や家電量販店の店頭には、最も目立つ“一等地”に各メーカーのスマートフォンがずらりと並ぶ。その種類は日本の量販店で扱うモデル数よりはるかに多い。現在、中国スマートフォンメーカーの各社は1000元台のモデルに力を入れている。このクラスのモデルは性能の向上も著しい。その1000元スマートフォンの中で、今最も人気の機種が「Coolpad 7295」だ。

【山根康宏の中国携帯最新事情:3秒に1台売れる! 中国1000元スマートフォン「Coolpad 7295」】

 中国移動(チャイナモバイル)がTD-SCMA、中国聯通(チャイナユニコム)がW-CDMA、中国電信(チャイナテレコム)がCDMA2000と、中国では、3社3方式の3Gサービスを展開している。3Gの新規加入数は、3社合計で毎月1000万件を超えており、それに応じてスマートフォンも売れまくっている。2013年4月には、中国移動が565万1000件、中国聯通が407万6000件、中国電信は307万件もの3G新規契約を集めている。スマートフォン購入時に新規契約を行えば、端末の価格がまるまる通話費用としてキャッシュバックする販売促進キャンペーンの効果もあって、2Gのフィーチャーフォンから3Gのスマートフォンへの乗換え需要も高い。

 中国にも日本と同じように5月初旬に連休があり、この期間は中国国民の消費が大いに盛り上がる。5月1日の休日「労働節」を中心としたこの連休商戦は「五一商戦」と呼ぶ恒例のものだ。この時期、通信事業者は、プリペイドSIMの割引販売や端末購入の無料ギフト進呈など、大々的な販売キャンペーンを行なう。

 2013年の「五一商戦」は4月29日からスタートした。各社思い切ったプロモーションを行ったが、連休初日から突出して売れまくった製品があった。1日の販売台数が1万8000台、店舗の営業時間が15時間とすると、実に3秒に1台売れた計算になる。この大人気商品となった製品はSamsung電子のGALAXY S4でもアップルのiPhoneでもない。中国のスマートフォン専業メーカー、Coolpad(深セン宇龍通信)の「Coolpad 7295」だ。

 Coolpad 7295は、中国聯通向けのW-CDMA/GSM端末で、定価は1399元だ。ただし、中国聯通と2年間のプリペイド契約をすると、毎月通話料を割引いて実質的に本体代金相当が無料になる。Coolpad 7295は、中国聯通が2013年2月に打ち出した「4521戦略」、すなわち、「4コアCPU」「5インチディスプレイ」「下り21Mbps」の機能を備えた1000元スマートフォンという“戦略的な”モデルにあたる。

 中国聯通は、このCoolpad 7295とZTEの「987」を4521戦略の“ツートップ”として消費者に大きくアピールしている。Coolpad 7295は、価格と性能バランスのよさに加え、本体のデザインもスタイリッシュなことから女性の支持も多く、その結果、2013年の五一商戦でダントツの売り上げとなった。

●Coolpad 7295のスペックと実力をチェック

 2013年の五一商戦で販売台数No.1となったCoolpad 7295だが、所詮1000元スマートフォンだ。性能も価格相応なのではないか? その実力を確かめるため、上海の中国聯通直営店で購入してみた。販売員も「これは一番売れているし、どの機種を買うか迷ったらこれが一番」と勧めていた。クアッドコアプロセッサーと5インチディスプレイを搭載しているので、1年以上は使い続けられるだろう。

 Coolpad 7295の本体サイズは、約73(幅)×140(奥行き)×9.9(厚さ)ミリだ。5インチクラスのディスプレイを搭載しているので横幅が広いものの、1センチを切る薄さのため、持つとそれほど大きく感じない。本体側面は角を取ってあるので小柄な人の手でも握りやすい。背面には、500万画素のカメラが真中に内蔵している。最新のハイエンドモデルと比較すると、カメラのスペックが低いが、その分低価格で購入できる。また、日常的に使うならこのクラスのカメラでも十分だ。

 通信方式はW-CDMAとGSMに対応する。デュアルSIMスロットを備えており、片方はW-CDMAとGSM、もう片方はGSMが利用できる。高速通信ができるSIMを片側に挿入して、もう一方は副回線、といった使い分けも可能だ。中国では、ミドルレンジクラスはもちろん、バリューレベルのスマートフォンでも大半のモデルがデュアルSIM仕様になっている。

 電源を入れると中国聯通のロゴを表示する。最近登場する中国の端末は、各通信事業者向けに提供しているため、この方式が一般的だ。Coolpad 7295のディスプレイ解像度は540×960ピクセルで、ディスプレイサイズからするとHDクラスが欲しいところだが、価格を考えると仕方ないところだろう。だが、使っていると、この解像度でもそれほど気にはならない。

 事前に導入しているアプリは、中国聯通のサービス関連や、Coolpadオリジナルなど、中国で販売しているスマートフォンとしては一般的なものを用意している。そのため、購入してそのまま中国で必要な各種サービスを利用できる。ゲームやストリーミングビデオサービスもいくつか入っているので、後からアプリを追加する必要もなさそうだ。

 Googleが提供するサービスに対応したアプリは導入していないが、中国で一般的な独自のソーシャルサービスや検索サービス、地図サービスなどが豊富なので中国で利用する分には困ることがない。アプリストアも、中国聯通とCoolpadの2種類を利用でき、そこから国内外のアプリを“ある程度”ダウンロード可能だ。もちろん、Facebookなど中国の国内でアクセスを阻止しているアプリはどちらのストアも登録していないが、中国人同士であれば、WeiboやWeiChatで済むので困らない。

 「AnTuTu 安兎兎ベンチマーク」でベンチマークテストを実行してみると、GALAXY SIIIのスコアを下回り、Nexus 7と互角のスコアを出した。実際に使ってみて、画面の動きが“ひっかかる”こともなく、Webブラウジングや地図のスクロールなどで特にストレスを感じない。ただ、3Dグラフィックスを多用するゲームなどは、スムースに動かないかもしれない。そのような利用を考えているユーザーはハイエンドモデルを選ぶことになるだろう。

 Coolpad 7295は、購入しやすい価格で大画面、かつ、高速のプロセッサーを搭載したスマートフォンを入手できるモデルだ。所得が限られるユーザーがまだまだ多い中国でベストセラーになった理由はそこにあるといえる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130703-00000029-zdn_m-prod

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