2015年1月23日金曜日

光学式手ブレ補正+“リコー印”のカメラはどれだけ進化した?――「AQUOS ZETA SH-01G」

 これは日本の技術、日本の底時からを発揮する試金石です。
 いわゆるデザインばかりではなく、本当に気持ちよく使えるものを開発してくれるのは価値のある企業です。

ITmedia Mobile 1月23日(金)12時5分配信

光学式手ブレ補正+“リコー印”のカメラはどれだけ進化した?――「AQUOS ZETA SH-01G」
「AQUOS ZETA SH-01G」
 AQUOS PHONEといえば省電力設計のIGZO液晶、長時間使える大容量バッテリー、フレーム幅が極めて小さく、「目指せ全面液晶」的なスタイルがウリだ。

【他の画像】

 このようにウリがはっきりしているのが、際だった特徴かブランド力がないと他に埋もれてしまうスマホ界で頑張れている大きな理由だと推察するんだけれども、昔からカメラにも力をいれているのだ(何しろJ-PHONE時代にカメラ内蔵ケータイを大ヒットさせた、カメラ付き端末の本家といってよいメーカーなのだ)。今回NTTドコモの2014-2015冬春モデルとして登場した「AQUOS ZETA SH-01G」もまた注目すべき製品に仕上がっているのである。

 正直なところ、いち早く光学式手ブレ補正を搭載したのにそのあとでそれを外しちゃったり、きれいに撮れるシーンとそうでもないシーンの得手不得手がなかなか克服できなかったりして不安定なところもあったのだが、AQUOS ZETA SH-01Gはどうか。

 何やら「GR certifiled」取得とか書いてあるぞ? それはなんだ? っていう話から始めたい。

●リコーのお墨付き 「GR certified」取得の画質

 GRとは何かというと、リコーが出しているハイエンドコンデジの名前だ。フィルム時代の名コンパクトカメラ「GR1」を元祖とするシリーズで、デジカメ時代になり、「GR Digital」、さらにAPS-Cサイズのセンサーを搭載した「GR」と進化してきた。カメラ好きなら必ず知っているブランドだろう。

 そのリコーが第三者機関としてモバイル機器が搭載するカメラの画質基準を定め、その基準を満たした機器に「GR certified」(GRが保証しましたよ、と)マークをつけましょう、という話。

 リコーの発表によると、画質コンサルティングとGR certifiedの審査を行うそうで、その第1号がこのSH-01Gなのだ。簡単にいえば、「今度のスマホは画質がいいよ」とメーカー自身が言ってもアレなので、リコーのカメラブランドであるGRが第三者としてお墨付きを与えましょうって話だ。

 シャープは自社でデジタルカメラを作っていないので、こういうのはありがたいのだ。SH-01Gはいろいろと面白い機能を持っているのだが、まずは画質チェックから。メインカメラは有効約1280万画素で、裏面照射型CMOSセンサーを採用。レンズは30ミリ相当でF値は1.9。これに光学式手ブレ補正が付く。

 比較用に、同じくシャープの「AQUOS SERIE SHL25」(auの2014年夏モデル)を引っ張り出してみた。これはSH-01Gの半年前に出たもので、私が普段プライベートで使っているAndroid端末だ。光学式手ブレ補正はないけれど、それ以外のスペックは基本的に同じ。どのくらい変わったかを比較するにはうってつけだ。

 作例は、いつもの滑り台から。どちらも「シーン自動認識オート」で撮影。HDRもオートで撮った。SH-01Gの方が黄色がきれいにくっきりと出ている。

 もう1つ、あずまや。

 両方を等倍で見比べるとSH-01Gの方がレンズの四隅の画質低下がかなり抑えられている。SHL25の方がくっきりしているが、これはたぶんSH-01Gの方はリアルタイムHDRがオートでかかったせいだろう。最近のAQUOSシリーズは「リアルタイムHDR」機能を搭載して、「HDRオート」(つまりカメラが判断して自動的にHDRをかける)がデフォルトになっている。だが、リアルタイムHDRは魔法の技じゃない。

 HDRは、大ざっぱにいえば「明るい写真と暗い写真を撮って、両方のおいしいところを合成し、ダイナミックレンジの広い写真を作る」という技だ。iPhoneや一般的なデジカメでは明るいのと普通のと暗いのの3枚を高速連写して合成する。だから撮るとき高速に動く被写体があったり、風が強く吹いていたりするとそこだけ不自然になる。

 リアルタイムHDRは明るい写真と暗い写真を「同時に」撮る技。具体的には、多分だけど、半分の画素を明るめに、半分の画素を暗めに撮ってその場で合成しているのだ。これだと撮影は1回で済むけどその分解像感が落ちる。シャープやサムスン電子が採用する方式だ。どっちがいいかと言われると、リアルタイムHDRの方がいい。解像感の違いなんて等倍でチェックしないと分からないレベルだし、ネットに写真を公開する時は1280万画素どころかもっと小さなサイズを使うし、プリントするにしても600万画素あればA4サイズくらいイケる。でも、ダイナミックレンジの広さは写真をどんな大きさで使おうが分かっちゃう。

 例えば下の写真。わざとHDRがかかる明暗差が激しいシーンで、HDRオフと一緒に撮って並べてみたのだけど、左がHDRオンで右がオフなのはこの比較写真だけで分かる。右の写真は後ろのマンションのベランダが真っ白にとんでいる。

 この写真の一部を等倍表示してみる。すると、HDRオフの方はベランダが真っ白になってて手すりがあるかないかも怪しいけど、HDRオンの写真に比べるとディテールがちょっとしっかりしている。ベランダの物干しとか木を見るとそれが分かる。

 個人的には多少解像感が落ちてもダイナミックレンジが広い方がいい。その方が気楽に撮れる。晴天下の昼間なんて結構HDRが必要になる。逆に、解像感を重視したいときはHDRをオフにすればいい。HDRはワンタッチでオフにできる。

 青空はどうか。

 サムネイルだと、SH-01Gの方がちょっと明るいかなって感じだが、等倍で見ると面白いくらいに違う。SHL25は空やマンションの明るさに押されて全体に暗めの仕上がりの上、空にノイズがのってざらついている。SH-01Gの空はとってもクリアだ。

 さて次はポートレート。

 肌色が違う。これ、どっちがいいかは好みによるけど、個人的にはSH-01Gの方がいい。まず階調が違う。SHL25の方は髪の毛が黒くつぶれているけど、SH-01Gは髪の階調が残っている。肌の階調もSH-01Gの方が滑らか。ホワイトバランスはどっちがいいかというと、やっぱりSH-01Gの方が好み。SHL25は肌色がやや黄色みがかっている。多分、女子を撮る時はSH-01Gの方が喜ばれる。色白でほんのり赤みが差してる感じがいい。ここ、予想以上に差が出た。

 お次は料理。シャープはいち早く「料理自動認識」機能を搭載。今、オートモードで料理を自動認識してくれるのなんて、シャープとパナソニックくらいだ。どちらもきちんと料理が自動認識された上での撮影だが、SH-01Gの方がちょっと明るめで色もきれい。料理は明るめに撮るのが基本ってことで、着実に改善されているのであった。

 最後は夜景でもいっとくか。

 ぱっと見はあまり違いがないかと思うけど、よく見ると、SH-01Gの方がノイズが少なくてダイナミックレンジも広い(たぶん、HDRがオートで働いている)。SH-01Gの方がノイズが少ない理由は明白だ。SHL25は光学式手ブレ補正を搭載していないため、手ブレしないようシャッタースピードを速めにする=ISO感度を上げる=ノイズが増える、というわけだ。SHL25の方がISO感度が高いもの。

 そんなわけで、一世代前の機種と(キャリアは違うけど)比べてみようシリーズでありました。シーンによりけりだけど、基本的に良くなっております。ただし、「ここは改善して欲しかった」という点はある。それはAF。時々、ピントがずれていることがあった。タッチAFが効くので、撮りたいものをしっかり指でタッチしてピントが合ったのを確認してから撮りたい。

 ついでに言えば、「Night Catch II」とやらで、夜でも人物と背景の両方をきれいに撮れるよってのがウリなんだが、「顔を検出したのにピントが背景に合う」ことがあった。まあそれはどの機種でも起こりがちなんだが、顔を見つけたのならそこにピントもちゃんと合わせてくれよ、とは思う。

●自撮り機能とか4Kインターバル動画などをまとめてご紹介

 SH-01Gにはカメラアプリが2つある。ややこしいんだけど、シャープ純正の「SHカメラ」とGoogleの「カメラ」。

 SH-01Gの性能を引き出すのは当然SHカメラなので、そっちを使う。カメラアプリの基本デザインは前モデルと同じ。慣れると使いやすい。メニューを表示させてアイコンをタップするだけで、主な機能のオン/オフや設定変更ができるのだ。

 シャープならではの面白いのをいくつか紹介。まずは撮影モード。

 普段は「おまかせオート」でいいけれども、特殊効果(モノクロや銀残し、背景ぼかし、ミニチュア効果など)を使いたい時はここで。背景ぼかしはあとからぼかし範囲を修正できる。

 さらに手鏡モードや検索ファインダーといったカメラを利用した特殊機能も用意されている。「+」をタップすると、新しくカメラ機能を追加できる。

 続いて注目したいのは「フレーミングアドバイザー」。普段はオートでいいけれども、多くの構図が用意されているので、どうやって撮ればカッコよくなるのか迷ったら、ここを当たってみるべし。

 これに従うときれいには撮れるけど、ありがちな写真にはなるので、時には自分の感性を信じるのも大事。

 Night CatchやHDRは前モデルを踏襲。ただ、HDRは「オートとオフ」のみになった。

 さらに「HQ」モードが追加された。これをオンにすると、画質を上げるために複数枚撮影して合成を行う。だから1枚の撮影に時間はかかるが、ディテールをくっきりさせて画質を上げてくれる。ただ、HQオン/オフの差は、私があれこれ試したところでは微妙でありました。撮影時のコツはタッチAFをうまく使うこと。タッチしたところにピントが合うのだが、同時にそこに露出(写真をどのくらいの明るさで写すか、だと思ってください)も合わせてくれる。暗いところをタップしたら、そこが適正な明るさになるよう調整してくれるということ。こんな具合に。

 ちなみに、SHL25で同じことをしてみた。

 基本的に似たような効果が得られるが、青空のグラデーションが不自然。SH-01Gの方が画質が向上しているのが分かるというものだ。さらに、手動でちゃんと合わせたいという時は、指を上下にスライドさせるべし。すると露出補正が可能になる。

 基本の撮影はこんな感じ。なお、シャッターボタンを長押しすると連写になる。これは昨今のスマホカメラのトレンドだ。応用系の撮影機能で注目したいのは2つ。1つは自撮り系。インカメラが210万画素のフルHDサイズになり、インカメラを起動すると自撮りモードに切り替わって自動的に2秒のセルフタイマーになる。

 もう1つ、何人かの友だちと自撮りしたい時、腕を伸ばしても画角が足りなくてみんなが入らない。そんな時用の面白い機能が付いた。それが「インカメラワイド」だ。

 つまりインカメラで自分たちに向けてパノラマ撮影をするわけだ。で、何度か挑戦してみたけど、腕を伸ばしてカメラを回しながら撮るのが案外難しい。コツをすぐつかめる人はいいけど、そうじゃない人はあらかじめ練習しておくべし。というわけで、なかなかいい感じに撮れなかったので作例はなしです。すいません。個人的には、自撮り棒を用意した方が手っ取り早いのでは? と思います。

 最後の大ネタは動画。4K動画は前モデルから搭載されていたけど、今回は4Kに微速度撮影機能(インターバル撮影でもタイムラプス動画でも早送り動画でもまあ好きな呼び方でどうぞ)が追加。今、はやってるからね。

 こんなのが撮れます。動画の形式は3gp。エンコードはH.264。

 1枚だけを取り出したのがこちら。

●申し分ないほど進化したスマホカメラ

 着実に進化しておきております。いろいろ機能は増えているけど、AQUOSのウリとなる基本性能はやはり「おまかせオート」「リアルタイムHDR」「フレーミングアドバイザー」の3つ。特にリアルタイムHDRとおまかせオート(の料理認識)はよい。細かいことはカメラに任せ、撮る側はタッチAFやフレーミングアドバイザーを駆使して構図やタイミングやフォーカスにだけ注意すればいいというレベルになってきた。

 前モデルに比べて明らかに改善されたのは青空や肌色の発色や階調、それから暗所での画質。前モデルはちょっとでも暗いとISO感度を上げてしまうので画質劣化が目立っていたが、SH-01Gは光学式手ブレ補正を内蔵した分、シャッタースピードが抑えられるようになり、暗所でのクオリティが上がった。レンズは周辺部の画質劣化も気にならなくなった。

 これはGR certifiedのおかげかもしれない。ちなみにGRと名がついているけど、デジカメ「GR」並の画質というわけではない(あそこまで高画質だったら大変だ)。あくまでもスマホカメラとしての画質にお墨付きを与えるだけであって、ハイエンドカメラのGRとは雲泥の差がある。それはしょうがない。

 でも着実に進化しております。個人的に気になったのはAFの精度くらい。スマホカメラのトップ集団にいると思って間違いはないかと思う。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150122-00000133-zdn_m-prod

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