オールマイティーを目指した設計です。
特に近距離で、構造物の撮影にさいこうな機種です。
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ニコンの「D750」は、フルサイズのCMOSセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラだ。まず注目したいのは、同社フルサイズ一眼レフでは初めてチルト式の液晶モニターを備えること。
ニコン独自の3軸ヒンジ構造を採用し、可動の角度は上に約90度、下に約75度。近ごろは多くのミラーレスカメラが可動モニターを搭載しており、そのメリットはもはや言うまでもない。ローポジションやハイポジションでの撮影はもちろん、カメラを腰の位置に構えたウエストレベル撮影や三脚使用時にも重宝する。
液晶の仕様は、上位モデルD810と同等となる3.2型/約122.9万ドット。色の3原色に白画素を加えたRGBW配列のタイプで、表面には衝撃に強い強化ガラスを装備する。表示の精細感は高く、拡大表示した際には厳密なフォーカスチェックが行える。
ライブビュー使用でのAF駆動は、これまでの製品と同じくコントラスト検出方式となる。その合焦速度はあまり速くなく、ミラーレスカメラのような万能性はない。可動モニターを使ってライブビュー撮影を行う際は、マニュアルフォーカスを利用するか、風景や静物など動きのない被写体に限定したほうがいいだろう。
ライブビューでのAF速度にはもの足りなさがあるものの、可動モニターの搭載自体は、撮影の自由度と機動力を高める進化として大いに評価したい。下の写真は、可動モニターを生かしてレンズを真上に向けて撮影したもの。無理な姿勢を取ることなく大胆なアングルが楽しめる。また、植物などを接写する際にも便利だ。
一方、一眼レフカメラの本来の魅力である光学ファインダーについては、視野率100%で倍率0.7倍のガラス製ペンタプリズムを搭載する。十分な広さがあり、その視認性は上々。明るくクリアな実像を見ながら快適に撮影が行える。
ファインダー内の情報表示には有機ELを採用する。明るい場所でも各種の情報表示がくっきり見られるほか、ファインダー内にグリッド線を表示可能な点が便利だ。
ボディは、内部にフレームを使わないモノコック構造となる。上面と背面はマグネシウム合金で、前面には炭素繊維複合素材を使用して、小型軽量と高剛性の両立を実現。と同時に、パネル接合部などにはシーリングを施し、D810と同等の防塵防滴性能を確保している。
本体重量は、製品名の数字と同じ750グラム。カードとバッテリーを含めた重量は約840グラムとなる。チルト液晶を採用しながらも、液晶固定式のD610に比べて10グラム軽い。サイズについてはボディの奥行きが縮小し、より薄型になった。また、グリップ形状の改良によって、ホールド性はいっそう向上している。
●動体や暗所でもストレスなく作動するAF性能
AFは、上位モデルのD4SやD810と同じく、15点クロスタイプを含む全51点測距に対応する。動きのある被写体に対してもストレスなくピントが合う、軽快なAF性能を実感できた。しかも、AFのセンサーモジュールには、新開発のアドバンストマルチCAM3500 IIを採用し、AFの最低検出範囲は上位モデルを超える-3EVを実現する。薄暗いシーンでも安心してAF撮影が行える。
AFエリアモードに関してはD4SやD810と同等になり、シングルポイントAF、ダイナミックAF、3D-トラッキング、オートエリアAFに加えて、被写体を面でとらえるグループエリアAFが選べる。不規則な動きをする動体撮影時に役立つ。
シャッター音はやや低い小さめの音で、シャッターショックやミラーショックについても控えめな印象だ。連写速度は最高で秒間約6.5コマに対応。そのほかにレリーズモードとして、撮影時の駆動音を抑える静音モードや静音連続撮影モード、ミラーアップ撮影などが用意されている。電子先幕シャッターは非搭載となる。
撮影モードはオートからマニュアルまで10モードが用意され、ボディ左肩のモードダイヤルによって切り換える。絞りやシャッター速度はグリップの前後にあるコマンドダイヤルで調整する。露出補正やISO感度、ホワイトバランスなどは、それぞれの専用ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回してスムーズに変更できる。
こうした基本的な操作に関してはこれまでの製品を踏襲し、同社ユーザーであれば迷うことはないだろう。ボディ前面にあるファンクションボタンやプレビューボタンの割り当て機能を変更できるなどカスタマイズの自由度もある。
●FXフォーマット機では初めてWi-Fiを標準装備
機能面では、中級者以上に向けた本格マニュアル機能に加えて、入門者向けのオート機能が充実している点が特徴だ。例えば、撮影モードの1つとして用意されたスペシャルエフェクトモードは、これまではエントリーモデルのみに採用されていた機能だ。ミニチュア効果やカラースケッチなどの特殊効果が手軽に楽しめる。
また、同社のフルサイズ機では初めてWi-Fiを内蔵。スマホやタブレットとの連携がスムーズに行える。
そのほか、3種類のフォーマットが選べる撮像範囲の変更機能や、左右と前後の傾きを検知する電子水準器、16種類のシーンモード、カメラ内RAW現像、画像編集、動画編集などの機能を搭載する。
●扱いやすい画素数と機動力の高いボディが魅力
撮像素子には、新たに開発されたフルサイズ(35.9×24ミリ)の有効2432万画素CMOSセンサーを搭載する。D810ほどの圧倒的な精細感ではないものの、それでもA3サイズのプリントに堪える精密な細部表現力がある。
オートホワイトバランスの安定感は高く、実写ではクリアな発色に好印象を受けた。発色傾向の調整機能としては、ピクチャーコントロールを搭載。D810で初採用された「フラット」モードや新しいパラメーター「明瞭度」も選べるようになっている。
画像処理エンジンには、D4SやD810と同じEXPEED 4を採用。常用感度はISO100~12800で、増減感を選ぶとISO50~51200まで拡張できる。ノイズリダクションによる解像感の低下を抑えつつ、高感度ノイズは目立たないように低減されている。
今回の実写では、比較的軽量なボディとチルト可動モニターの組み合わせによって、フルサイズならではの高画質をスナップ感覚で楽しむことができた。以前に掲載したD810のレビューでは、個人的な要望として、このクラスの製品にも可動式モニターが欲しいと述べたが、その願いがこれほど早く実現したのはうれしい誤算だった。
なお、上下左右に可動するバリアングル式ではないので、カメラを縦位置に構えた場合には可動のメリットはない。その代わり、ワンアクションで素早く液晶モニターを引き出せることや、モニターの中心がほぼレンズの光軸に重なることがチルト式の利点といえる。
D750は、多機能と高画質、機動力を兼ね備えたフルサイズ一眼レフだ。写真撮影を趣味にするユーザーに強くお勧めできる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141029-00000078-it_camera-prod
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