2015年12月1日火曜日

高速連写や4K動画が堪能できるRXの高倍率ズームモデル――ソニー「RX10 II」

 価格.comでは、2015年12月1日現在137,144で、価格も「高」が付きます。
 4Kなども確かに魅力的ですね。

 ソニーが誇る1型センサー搭載ハイエンドコンパクトのラインアップ中でも、Cyber-shot 「RX10(DSC-RX10)」は、明るく高倍率のズームレンズを持つのが特徴のモデルだ。コンパクトさがウリの「RX100(DSC-RX100)」の上位モデルに当たる。ファインダー部が少し膨らんだなで肩のフォルム、内蔵EVF、24-200ミリでF2.8という明るくて高倍率なズームレンズなどがポイントである一方、EVF内蔵ミラーレス一眼と変わらない重量感の大型コンデジとなっている。

 大型コンデジという言い方は変だな。一眼スタイルのレンズ一体型カメラ、という方が似合ってる。何しろ24~200ミリ相当で全域F2.8という大口径で優れたT*コーティングのレンズを持つのである。望遠だけならパナソニックの「LUMIX DMC-FZ1000」やキヤノンの「PowerShot G3 X」の方が上だが、200ミリ相当でF2.8となると他にはないアドバンテージだ。

 中央部が少し盛り上がり、太くてしっかり握ることができるグリップを持つため、大きいけれどもその分しっかり構えて撮れるのがよい。そんなRX10の後継機……ではなく上位モデルが登場した。「RX10 II」(DSC-RX10M2)である。見た目はほとんど変わらないが中身が大きく進化した。

 「Exmor RS」と名付けられた新開発のイメージセンサーは、メモリを一体化した積層型CMOSセンサー。その特徴は「速さ」。センサーが速くなると、どんないいことがあるか。実用的な電子シャッターや高速連写や4K動画やハイスピード動画(スーパースローモーション)が実現するのである。

●新型センサーの電子シャッターは素晴らしい

 RX10 IIのセンサーは1型で約2000万画素。初代機と同じだ。特に高感度に強くなったわけでもなく、最高ISO感度も12800だ。ただ、読み出しが速い。静止画の場合、読み出しの速さは電子シャッターに効いてくる。CMOSセンサーを電子シャッターで使うと、どうしても高速で動く被写体で「ローリングシャッターゆがみ」が発生するのだ。

 例えば、某社の電子シャッターを利用可能なデジタル一眼を使い、電子シャッターで列車を撮ってみたらこうなった。

 このカメラに限らず、CMOSセンサーで電子シャッターを使うカメラは大抵(一部、ゆがみが少ないミラーレス機もあるが)、こうなる。RX10 IIも、新たにシャッター方式を選ぶことで電子シャッターが可能になったので同じ電車を撮ってみよう。

 これで撮影したのがこちら。片方が急行で片方が各停ということはなく、同じ電車である。

 このくらい違う。予想以上に違って驚いたほど。被写体がもっと速かったりもっと近かったりするとゆがみは発生するので万能ではないが、これはすばらしい。ソニーはアンチディストーションシャッターと名付けてる。電子シャッターはメカ的な動きが不要なので、シャッタースピードや連写速度を上げられるメリットがある。

 メカシャッター時は絞り開放時のシャッタースピードの上限が1/1600秒だが(F8以上なら1/3200秒)、電子シャッターだと最高1/32000秒まで速度を上げられる。1/32000秒ともなるとそうそう使うもんじゃないが、1/8000秒くらいならよく使うし、晴天下で絞り開放で撮りたいときもNDフィルタをオンにしなくてすむ。

 連写速度も速度優先連写にすると最高秒14コマまでいける。このクオリティで撮れるなら、通常はシャッター方式をオートにしておけばいいだろう。

●最も強化されたのは動画機能。

 今回、新しいセンサーを最も生かしているのは動画だ。4K動画とHFR(ハイフレームレート。要するにハイスピード動画。再生時はスーパースローモーション)が可能になった。

 4K動画のフォーマットは「XAVC S」となる。なお4K動画時はSDXCカード必須。4K動画で100Mbpsの高ビットレートで記録したいときはUHC-I(U3)規格のカードじゃないとはねられる。ちょっとハードルは高いが、まあ、あらたに64GバイトクラスのSDXCカードを買えばOKな感じだ。

 4K動画は最長29分まで記録可能だ。

 フルHD動画なら、動画を撮りながら静止画を撮れる(デュアル記録ができる)わけだが、その際、1700万画素(要するに16:9時のフル画素)で静止画を記録できる。これは素晴らしい。また電子式手ブレ補正を加えた5軸補正で手ブレを軽減してくれる。

 続いてスーパースローモーション。撮影モードダイヤルにあるHFRはハイフレームレートの略。HFRモードにすると使える。

 RX10 IIが素晴らしいのは(RX100 IVも同じだが)、フルHDサイズでのスローモーションを撮影できること。ほとんどのカメラはハイフレームレート時はサイズが小さくなるため、他の素材と一緒には使えない。iPhoneなど一部のスマホが720pでのスローモーションをサポートしている程度だ。

 RX10 IIは240fps時はほぼフルHD、480fpsや960fps時は実サイズは小さくなるが、補完してフルHDサイズで記録してくれる。画質は劣化するがどのスピードで撮ってもフルHDサイズの絵を作ってくれるのは素晴らしい。


 それぞれ同じ位置から、フレームレートを変えながら撮影し、60pで再生するスローモーション動画。エンドトリガーを使って撮影。画角や画質、動きの遅さの違いを見てほしい。これはいろいろ撮って遊びたくなる。

 また画質優先と撮影時間優先があるが、クオリティを求めるなら画質優先がよいだろう。実サイズと書き出しサイズの違いはこの表を。

 HFR時はちょっと特殊な操作系になるのでそれだけは注意。まずフォーカスを合わせて、センターキーを押す。それでスタンバイ状態になるので、タイミングを合わせて動画ボタンを押せば撮影される。撮影時間は決まっているので(画質優先時は2秒)、タイミングが重要だ。

 録画タイミングには「スタートトリガー」と「エンドトリガー」の2種類が用意されている。「エンドトリガー」にすれば、ボタンを押すとその直前の動画を記録してくれるので、決定的瞬間を狙いたいのなら、エンドシャッターにしておくとよい。

 なお、スタンバイ時は常にバッファに高速で画像を記録しているので、スタンバイのままにしておくとバッテリーをかなり消費するので注意したい。細かなクセや制限はあるが、フルHDでハイスピード動画を撮れるのは実に素晴らしい。

●ハイエンドカメラとして魅力的なボディと操作性

 最後にカメラ自体の話。カメラとしては実にしっかり作られていて安心して使える。さすがハイエンド機、というのが印象だ。ボディが大きい分、グリップはしっかりしていて構えやすいし、操作系も(個人的にはタッチパネルがないのが不満だが)よい。EVFは前モデルより画素数が上がった235万ピクセル相当の有機ELを採用。ハイコントラストで見やすくなった。

 モニターは上下にチルトするタイプ。屋外だとちょっと見づらくなるが、そのときは屋外晴天モードに切り替えるとぐっと明るくなる。

 ズーミングはシャッターボタン回りのズームレバーか、鏡胴のリングで行う。リングはMF時はフォーカスリングとなる。レンズは24-200ミリ相当で望遠にするとレンズがぐぐっとせり出てくる。

 絞りは全域で開放がF2.8と優秀。鏡胴付け根の絞りリングでコントロールする。絞りリングのクリック感はオンオフできる。動画撮影時にクリック音を入れないで絞り値を変えたいときにクリックをオフにするとよい。

 露出補正は専用のダイヤルで行い、シャッタースピードは背面にあるダイヤルを親指で回す。

 カスタマイズは豊富だ。面白いのは動画ボタンを他のキーに割り当てられること。自分が押しやすいキーを録画ボタンにできる。

 AFはAF-S、AF-C、MFに加えてDMFも使える。

 通常、鏡胴のリングはズームに割り当てられているが、MF時はこれがフォーカスリングとなる。自動拡大機能もあり、MFは使いやすい。バッテリーはmicroUSBによるUSB充電が可能。これは素晴らしい。またバッテリーの持ちもCIPA規格で400枚相当とよくなっている。ただ、4K動画やHFS動画を多用すると消耗するので注意したい。でも通電しながらの撮影も可能なので、モバイルバッテリーとMicro USBケーブル(ただし充電専用ケーブル。通信用ケーブルだとUSB接続モードになってしまう)があればなんとかなる。これは注目すべき点だ。

 見た目はRX10と変わらないが、RX10 IIの方がずっと魅力的になった。AFが速くなって快適になったとかそういう全体のブラッシュアップもあるけれども、やはり「RX10 IIじゃないと撮れない絵がある」ことだと思う。電子シャッターでもゆがみが少ない絵で高速シャッターが可能になったとか、高速連写が可能になったのはこういう望遠系のカメラでは実に魅力だし、RX10 IIのような高倍率でじっくり構えてじっくり撮るカメラだからこそ、4K動画もHFR動画も三脚をもってこういう絵をこう撮ってみようという気になる。価格は少々高いが、動画作品を撮りたい人やこの電子シャッターに魅力を感じたなら、すごく魅力的なカメラだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151201-00000039-it_camera-prod

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